<東北の本棚>簡単健康法 ネコに学ぶ

ニャン生訓 熊谷あづさ 現代語訳・解説  沖昌之 写真

 ネコになりたい。自由奔放に伸び伸びと気ままに生きてみたい。そんなあなたに朗報だ。キラリと光る大きな瞳やモフモフの毛並みを手に入れることは難しいけど、ネコのような「生き方」はできる。

 自然に委ね、生活を律することで、心を穏やかに保つ-。本書は江戸時代の儒学者貝原益軒の指南書「養生訓」から「こころ」「食」「暮らし」にまつわる教えを厳選し、歴史的背景や現代的な意味を解説。メッセージを体現しているような、ユーモラスで愛くるしいネコの写真を添えた。

 印象的なのが「元気は倹約すべし」。心と体を満たすエネルギーである「気」を浪費せず、体をいとおしむことが長生きにつながる。「多飲は禍(わざわい)となりにけり」は耳が痛い。少量の酒は陽気を助け、血気を和らげるが、多量は禁物。酒ほど人を害するものはないという。他にも「魚は焼いて食らふべし」「目をふさぎて落ち着けよ」など健康に役立つ心得が並ぶ。

 ネコの写真は秀逸だ。ダンスのようなステップを踏んだり、マッサージをしていたり。中に人間が入っているのかと思うほど表情豊かな姿は、世のネコ派はもちろんイヌ派もにやけるであろう破壊力だ。

 筆者は気仙沼市出身のライター。両親の老後や新型コロナウイルスのまん延で焦りや心配が尽きない中、不安と上手に付き合い、ネコのように気楽に生きるヒントを養生訓に見いだしたという。ネコ栄養管理士の顔も持ち、本書にはネコの健康や行動についての豆知識も収録してある。

 めまぐるしく変化する現代は、ネコに生き方を学ぶ時代なのかもしれない。強くしなやかにひょうひょうと生きるネコたちは、まさに「招き猫」となって、人々に安らぎと幸せをもたらしてくれそうだ。(江)

 集英社インターナショナル03(5211)2632=1650円。

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