トヨタの豊田社長が宮城大衡工場視察

生産設備の開発現場を視察する豊田社長(手前中央)=4日午前10時40分ごろ、トヨタ東日本宮城大衡工場

 東日本大震災から10年を迎えるのを前に、トヨタ自動車の豊田章男社長が4日、トヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)の宮城大衡工場などを訪問した。「震災を忘れず、自動車産業を通じて東北に元気や希望を与えたいと考えてきた」と語った。

 宮城大衡工場などを訪れた豊田社長は、東日本大震災があった翌年の2012年の発足から東北の産業復興をけん引し、昨年発売の「ヤリス」など小型車生産の一大拠点に成長した現場を確認した。

 豊田社長は工場の車両組み立てラインや設備開発棟を視察。生産設備用ロボットの開発状況を聞いたり、20年12月に閉鎖したトヨタ東日本東富士工場(静岡県裾野市)から移籍した従業員に東北での暮らしぶりを尋ねたりした。

 ハイブリッド車(HV)用車載電池を製造するプライムアースEVエナジー宮城工場(宮城県大和町)も見学。集まった従業員に対して「かつてのエンジンの役割を電池が担う。変化の最前線で力を貸してほしい」と激励した。

 豊田社長は震災以降、毎年3月にトヨタ東日本の宮城大衡工場や岩手工場(岩手県金ケ崎町)を訪問している。

豊田社長「東北、電動化をけん引」

 トヨタ自動車の豊田章男社長は宮城県大和町で報道各社の取材に応じ、東北での小型車生産を通じた東日本大震災からの復興への思いを語った。

 ―震災から10年をどう振り返るか。

 「10年前の3月に東北に来たときは、自粛ムードの中でも『車のビジネスで日本を引っ張ってほしい』と東北の方々に言われたのが印象に残る。震災を忘れず、自動車産業の発展を通じて東北に元気や希望を与えたいと考えてきた」

 「(愛知、九州に次ぐ)第3の生産拠点となった東北での出荷額は当時の500億円から8000億円に伸びた。雇用を生み、仕入れ先の基盤をつくり、地元に納税し続けたことが一番の貢献になった。さらなる競争力向上を期待したい」

 ―東北で中心的に生産する小型車への思いは。

 「岩手工場で生産する『ヤリス』は国内や欧州で高く評価されている。小型車で稼ぐのは楽ではないが、工場内でのロボット内製化や生産性を上げる工夫は日本のものづくりの原動力になる。『幸せの量産』を求める会社として、小型車を一番の主軸にしたい」

 ―サプライチェーン(部品の調達・供給網)の強さは変わったか。

 「震災当時は仕入れ先の状況把握に3週間かかったが、今は半日か1日。被災した仕入れ先の立ち上がりも早くなり、この10年でかなり強くなった」

 ―脱炭素社会の実現へ電気自動車(EV)の普及が進むと予測される。

 「東北での生産は(ハイブリッド車も含めた)電動車が8割を占め、電動化をけん引している。今後はEVだけの会社が目立っていくが、どの車を選ぶかはお客さまと市場が決める。私たちはフルラインアップで選択の幅を広げていく」

組み立てラインを視察する豊田社長(左端)=4日午前10時30分ごろ、トヨタ東日本宮城大衡工場

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