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石巻地方・退職校長、思いを語る(下) 釜小、山下中

 石巻地方の小学校5校と中学校3校の校長が定年退職。長年にわたる教員生活を振り返り、学校づくりや教育に対する思い、今後の期待などを取材に応じた先生たちに聞いた。

 
◇釜小・仲上浩一さん/10年後の姿思い指導を

 38年の教員生活を振り返り、「鹿妻小が開校した1986年度に赴任し、一から学校づくりに関わったことが特に思い出に残っている」という。

 「子どもの成長過程は一人一人違う。他と比べることなく、その子自身の可能性を信じてあげることが大事。そのために教師は何年か先の子どもの姿を見据えて、今すべきことと将来のために育んであげることを見極めた指導が必要。いつも子どもの成長した10年後の姿を思い描いて指導してきた」

 石巻市出身。宮城教育大卒。船越小名振分校で教員生活をスタート。石巻市教委指導主事、東部教育事務所指導主事、東松島市教委学校教育課長、同市矢本東小校長などを務めた。

 釜小は教員として最後の1年間。「新型コロナウイルス禍で6年生を中心に一つ一つの教育活動や授業に臨む姿勢が立派。探究心が旺盛で、進んで学習しようとする姿勢がこれまでの勤務校と比べ際立っていた」

 子どもたちには「子どもが伸びる時期や才能が開花する時期は人によって違う。諦めたら終わり。自分の可能性を信じて、今できることを一生懸命に努力してほしい」と願う。

 後進には「今置かれた場所でしっかり頑張ること、そしてそれを支えてくれている人と人との縁を大切にしてほしい」と期待する。

 「教員を天職だと思ってやってきた。38年間本当に楽しかった。先輩や同僚、大切な子どもたちのおかげ。とても感謝している」

 
◇山下中・高橋義孝さん/教育信念固めた8年間

 「印象に残っていることのほとんどは失敗経験。しかし、その経験のおかげで教師として成長できた」と、36年の教員生活を振り返る。

 2校目の桃生中は体操部が全国大会出場の実績を持つ東北大会常連校。男子体操部の顧問を務め、鍛え抜いた。「生徒らの成長は素晴らしく、ハイレベルな技を習得するとともに、成就感に浸った生徒が多かったと思う」

 担当教科は数学。1年間を通して毎回課題を出し、学力は格段に向上した。「桃生中では数学教師として指導スタイルを確立できたし、自分の教育信念を固める8年間となった」

 気仙沼市出身。宮城教育大卒。栗駒中で教員生活をスタートさせた。県教委義務教育課指導主事、牡鹿中校長、塩釜市教委参事兼学校教育課長、県教委義務教育課心のサポート専門監などを務めた。

 「学校は、生徒の人格の陶冶(とうや)の場である」が教育信条。教諭時代は「厳しいけど楽しい教師」「師弟同行」をモットーに、生徒に努力を強いるのならば自分自身にも厳しくという姿勢で指導に当たった。

 子どもたちには「親から授かった命を大切にしてたくましく生きてほしい」と願う。後進には「子どもを最優先に教育哲学を持って指導してほしい」と期待。

 「学校づくりのポイントは日々の意識改善」と強調し、情報の共有や職場での討論の活発化、合意の尊重、「愛情と信頼感」を大切にすることを求める。

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