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震災契機に教員の道へ 元石巻工高野球部・赤間さん、石巻小に赴任

教員への第一歩を踏み出した赤間さん

 県東部教育事務所管内で、2021年度に新規採用された小学校の教員は69人を数える。石巻市石巻小(児童309人)に赴任した赤間広弥さん(26)もその一人。石巻工高硬式野球部の元控え捕手で、2012年春の第84回選抜高校野球大会では、ベンチからレギュラー陣に熱い声援を送り続けた。2年1組25人の担任を受け持つことになった赤間教諭は「子どもたちが笑顔で健やかに育つよう頑張っていきたい」と決意を語る。

 赤間教諭は蛇田小、蛇田中、石巻工高を経て、仙台大に進学。卒業後は、常勤講師として石巻小に3年、大街道小に1年、それぞれ特別支援学級の担任として児童と向き合った。

 教員を真剣に志すようになったのは高校時代。野球という部活動を通して仲間との絆や礼儀作法の大切さなどを学んだ。東日本大震災が大きなきっかけになったのも言うまでもない。「震災で命の大切さや日常生活のありがたさなどを改めて実感した。次代を担う子どもたちに、こうしたことを教えられればと思った」と振り返る。

 「5度目の採用試験での合格は、うれしく正直ほっとした」と語る赤間教諭。顔なじみの先生や児童も多い石巻小が初任地とあって、喜びも大きい。

 既に「少し年の離れたお兄さん的存在」として、休み時間には校庭で子どもたちにおんぶされるなど人気を集める。

 8日の始業式やお迎え式(着任式)、9日の入学式を経て、12日に本格的に授業を開始。国語、算数、生活に加え、学級活動も熱心に指導している。「少し緊張して、言葉を選ぶのが難しかったけれど、子どもたちは楽しそうに笑顔で授業に向き合ってくれた」と、確かな手応えをつかんでいる。

 川田知宏校長は「やる気に満ちあふれ、一緒にいるだけでパワーをもらえる先生です。子どもたちのために誠心誠意、魂を込めて仕事をしてほしい」と、熱いエールを送っている。

 赤間教諭は、石巻工高野球部の主将を務め甲子園で選手宣誓した阿部翔人さん(26)=仙台一高教諭=とは親友で、同じ教員の道を目指してきた。「翔人も同じ教職の道を歩き始めた。高校、小学校と場所は違えど、切磋琢磨(せっさたくま)しながら良い先生になれれば」と意欲を燃やす。

 「覚えることも多く、忙しくなると思う。それでも子どもたちの元気な姿に負けないよう一緒に成長していきたい」と気を引き締めている。

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