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地元から熱いエール 五輪バレー代表 雄勝出身・藤井選手

男子代表に選ばれた藤井選手(左から4人目)=5月、東京(河北新報写真映像部・高橋諒撮影)
野球に打ち込んでいた小学生時代の藤井選手

 東京五輪の開幕が23日に迫った。東日本大震災で甚大な被害を受けた石巻市雄勝地区出身の藤井直伸選手(29)がバレーボール男子代表に選ばれ、地元は感激と期待に沸いている。目標に向かって努力する姿を長年見守ってきた恩師や家族は「力を出し切ってほしい」とエールを送る。

 「ただただうれしい」市雄勝小・中学校の横江良伸校長(59)は、教え子の吉報を喜ぶ。藤井選手が大須小5、6年の時に野球部の監督として指導した。「仲間思いのいい子。器用で、チームの核になる選手だった」と振り返る。

 横江校長自身も同地区出身。入学式など折に触れ、努力し続けている先輩の存在を児童生徒に紹介してきた。「地元の先輩の五輪出場は子どもたちにとって誇りになる。思う存分実力を発揮してほしい」

 古川工高時代の恩師で、現在は石巻工高教頭の佐々木隆義さん(56)は「東日本大震災から10年の節目に石巻から五輪に出てくれるとは」と目を細める。

 学業の成績もトップクラスだったという高校時代の印象は「とにかく真面目な生徒」。佐々木さんの自宅に併設した寮では、毎日食事の後にトレーニングマシンに向かっていた。

 震災で藤井選手の自宅は全壊。競技を辞めることも覚悟したが、周囲の支援で続けることができた。佐々木さんは「震災後に受けた恩から、いつも『今度は自分が』と言っていた。地域への思いを大事にして、世界の舞台を全力で戦ってほしい」と激励する。

 震災後に同市あゆみ野地区に移住した家族の元には、無料通信アプリLINE(ライン)で代表入りの報告があった。母のみちえさん(54)は「選ばれてほっとした。本人の頑張りと、支えてくださった方々のおかげ」と感謝する。

 家族に五輪出場を目指すと宣言したのは、順大を卒業し、実業団の東レ入りするタイミングだった。妹のくるみさん(26)は「急に言い出したので当時は驚いた」と苦笑する。

 試合で結果を出せない時期や新型コロナウイルス感染拡大による五輪延期もあったが、弱音を吐くことはほとんどなかった。父の俊光さん(61)は「やってきたことを信じて力を出し切ってほしい」と願う。

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