◎腎・高血圧・内分泌科長 宮崎真理子 特命教授
病気を早期発見して重症化を防ぐため、わが国の健診制度では乳幼児から高齢者まで検尿の機会があり、これを総称して「生涯検尿」とも言います。また、医療機関で尿検査を受けた経験のある方も多いと思います。
尿の検査項目のうち主なものは、潜血、タンパク、糖です。潜血は尿中に血液中の成分(赤血球)が混じっていることを示します。若年から中年の血尿は慢性腎臓病の初期症状、中高年の血尿では泌尿器科系のがんの症状の場合がありますので、放置してはいけません。
■血管の壁に傷み
尿潜血や糖が陰性でも、唯一、タンパクに異常が検出される場合もあり、これが腎臓病の初期であることも多いです。尿検査を契機に、かかりつけの医療機関と腎臓専門医が連携して原因、重症度を明らかにし、生活習慣の改善や薬剤により、悪化防止に努めていただきたいと思います。
タンパク尿が見られる腎臓病のうち、末期腎不全に至る危険が最も多いのは糖尿病性腎症です。血糖が高い状態では、血液が流れている血管の壁が高濃度のブドウ糖と反応を起こし、腎臓の血管の壁が傷みます。腎臓の毛細血管が壊れると、タンパク尿が尿に漏れてくるようになります。
タンパク尿が見られても量が少ない、あるいは尿を作る力が保たれているうちは症状が出ません。この段階で、腎臓を保護することを注意しながら糖尿病の管理を行うことが大切です。例えば(1)血糖をちょうど良くする(2)タンパク尿は陽性でも75歳未満なら血圧を130/80mmHg未満を目標に食事療法や降圧薬を使用する-などの方法があります。腎臓の破壊は年単位で進みますが、タンパク尿が多い人ほど悪化するのが速く、末期腎不全に近くなると、糖尿病の管理が改善していても腎臓の働きは元に戻りません。
■心臓病にも関連
タンパク尿は、心臓病や脳卒中などの危険性とも深く関連しています。タンパク尿の検査の中で糖尿病の患者さんでは微量アルブミン尿の検査が行われます。これが陽性の方は心筋梗塞や心不全の発症率、心臓病による死亡率とも関係があることが分かってきました。腎臓の血管の壁が傷んだ結果としてタンパク尿が出てくるという病状は、全身の血管にも障害を及ぼしていることの現れとも言えるわけです。
検尿の意義を解説しました。生涯検尿の機会を逃すことなく健康管理に役立てていただきたいと思います。
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