気になる症状 すっきり診断(106)表情筋動かぬ顔面神経まひ/半年以内に受診 手術を

イラスト・叶  悦子

◎形成外科 黒沢 是之 講師

 われわれはコミュニケーションを取る時、さまざまな表情をします。笑い、怒り、悲しみといった表情は、解剖学的には顔面に存在する多数の表情筋という筋肉が動いた結果と解釈できます。

■日常生活に支障

 実は表情筋というのは総称で、表情筋には顔の各パーツを細かく動かす20種類以上の筋肉が含まれます。例えば眠る時にまぶたを閉じる眼輪筋や、食事中にご飯がこぼれないように口を閉じる口輪筋、眉毛を上げる前頭筋、口角を上げて笑いの表情をつくる笑筋や大頬骨(だいきょうこつ)筋などは表情筋の一つです。これらの筋肉が動かなくなると、日常生活に大きな支障が生じます。

 顔面神経まひは、表情筋を支配する顔面神経が何らかの原因で障害を受け、表情筋が動かなくなる状態を指します。顔面神経は左右一対あり、それぞれの神経は顔を半分ずつ支配していることから、どちらか一方の顔面神経がまひすると、顔半分の表情筋が緩み、顔貌の左右のバランスが崩れます。

 形成外科では、何らかの原因で顔面神経まひになり、耳鼻科や脳外科、神経内科で原因の治療を行ったものの、まひ症状が残り、顔の表情の回復ができずに困っている患者さんに対し、さまざまな手術を行っています。

 形成外科を受診していただくタイミングは、発症から6カ月以内をお勧めしています。というのも、顔面神経まひが生じると表情筋が動かなくなり、筋肉は萎縮していきます。完全に萎縮した筋肉に対して、新たな神経が再生しても、筋肉は回復することができません。

■反対側とつなぐ

 形成外科では萎縮前の表情筋に対して、反対側の顔面神経とまひ側の顔面神経をつなぐ神経移植術や、舌を動かす神経とまひ側の顔面神経をつなげる手術を行うことで、新たな神経ネットワークを顔面神経と表情筋との間で作り出し、動きを取り戻す治療を行っています。

 発症から6カ月以上経過した場合は、顔の左右のバランスを整える静的再建手術を行っています。眉毛の高さを合わせる眉毛挙上、弛緩(しかん)したまぶたの形成術、口角の挙上術などが挙げられます。この他に、顔の動きを取り戻す動的再建手術として、まぶたを閉じることができるようにする側頭筋移行術や、口角を上げて笑いの表情をつくる筋肉の移植術なども行っています。

 顔面神経まひの症状は顔全体に及んでいるため、形成外科では患者さんと相談した上で、これらの手術を組み合わせて治療しています。お困りの方は、形成外科にご相談ください。

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