河北春秋(8/17):水産会社の名を冠した公園が、北上山地北端…

 水産会社の名を冠した公園が、北上山地北端の山村にある。八戸市南郷区(旧青森県南郷村)の「大洋公園」。大洋漁業(現マルハニチロ)の南極海捕鯨に従事した村人らが資金を出し合い、1959年に開園した。桜の名所として地域の人に今も親しまれている▼雑穀に頼る貧しい村だった戦前、当時の村長市沢安恵(1894~1962年)が葉タバコ栽培と共に、当時始まったばかりの母船式捕鯨への出稼ぎを推奨。公園ができた昭和30年代には、200人以上が従事した。その数は、捕鯨基地である石巻市鮎川の出身者より多かったという▼山の中の「クジラの村」を紹介する特別展が南郷歴史民俗資料館で開かれている。捕鯨で使われた道具類のほか、娯楽の少なかった船上生活で乗組員がクジラのひげや骨で作った工芸品などを展示。元出稼ぎ者が体験談を披露する講演会なども予定する▼日本政府が国際捕鯨委員会(IWC)を脱退し、昨年、商業捕鯨が32年ぶりに再開した。八戸港は沿岸捕鯨の拠点港の一つとなり、ミンククジラなどの水揚げや解体が行われている▼特別展を企画した学芸員の中尻貴之さん(32)は「豊かな恵みをもたらす海と、地域と深い関わりがあるクジラとの付き合い方を考えるきっかけになれば」と願っている。(2021・8・17)

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