社説(8/26):宮城県に「緊急事態」/総力挙げて医療崩壊阻止を

 医療崩壊は何としても避けなければならない。そのためには、宮城県、県内市町村、県民それぞれが、やるべきことをやるしかない。

 新型コロナウイルスの全国的な感染拡大を受け、政府はきのう、13都府県に発令中の緊急事態宣言の対象地域に宮城など8道県を追加した。いずれもまん延防止等重点措置からの格上げで、期間はあすから9月12日までとなる。

 感染力の強いデルタ株による感染者の急増で、首都圏では入院できないまま亡くなる自宅療養者が後を絶たない。入院患者を選別せざるを得ないような状況に、医療従事者からは「災害レベル」との声が上がる。

 首都圏に比べて脆弱(ぜいじゃく)な県内の医療体制も逼迫(ひっぱく)の度合いを増している。今月に入って新規感染者が急増したのに伴い、確保病床の使用率は全入院者、重症者ともステージ4(爆発的感染拡大)の水準を上回っている。

 宮城では今月20日に重点措置が適用され、対象地域の仙台市では全飲食店に酒類の終日提供停止、延べ床面積1000平方メートルを超える商業、遊興施設などに午後8時までの時短営業が要請されている。

 適用開始から5日後の宣言移行決定という事態の急転に戸惑う県民は多い。宣言の効果を疑問視する向きもある。だが、きのうの県内の新規感染者は301人で過去最多となり、クラスター(感染者集団)の発生も相次ぐ。宣言を機に、状況が悪化していることを再認識すべきだろう。

 感染者を減らすには、マスク着用などの基本的対策の徹底に加え、人の流れを抑制しなければならない。不要不急の外出を避けることはもちろん、テレワークの一層の推進が求められる。県や市町村も、病床のさらなる確保や保健所の体制強化、医療機関との連携強化などが急務だ。

 10代以下の感染者も増えており、夏休みが終わった教育現場の取り組みも重要だ。萩生田光一文部科学相は宣言地域の一斉休校に慎重な考えを示している。一斉休校に関しては、村井嘉浩知事は23日に「現段階ではない」、郡和子仙台市長も24日に「考えていない」と述べている。

 感染対策を徹底した上で十分な学習機会を確保することが望ましい。ただ、国が地方に対応を丸投げしているのが実情だ。現場が混乱を来さないよう、国は学校で感染者が出た場合の対応などに関してガイドラインを早急に示すべきだ。児童・生徒の心理的なケアをはじめとする手厚い支援も欠かせない。

 首都圏では、自分の命は自分で守るしかなくなりつつある。宮城も手をこまねいていると、いずれ首都圏のようになりかねない。国の対応が後手に回る中では、まずは危機感を共有し、具体的な行動に移すしかない。県民の命を守れるかどうか。まさに、正念場を迎えている。

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