社説(8/22):不振続くサンマ漁/構造改革への支援が急務だ

 本格的な操業が始まった北太平洋のサンマは、今季も深刻な不漁が続くとみられている。水揚げ量が6年連続で本州1位の大船渡市、7年前にトップだった気仙沼市からは17日、棒受け網漁の大型船が出港した。20日に漁の解禁を迎えたが、大漁祈願の見送りを背に北海道東沖の公海へと向かった船団には、厳しい先行きが待ち受ける。

 全国さんま棒受網漁業協同組合によると、2020年のサンマ漁獲量は、前年を27%下回る2万9566トンにとどまり、2年連続で過去最低を更新。この20年間でピークだった08年の1割以下に落ち込んだ。今年7月上旬に解禁された北海道東部沿岸の流し網漁は魚群が見つからず、記録が残る1997年以降で初の水揚げゼロとなっている。

 今年の本漁期(8~12月)を前に、水産研究・教育機構が7月にまとめた予想によると、北海道から千葉県沖にかけての漁場に来るサンマは20年を上回るものの、2番目に漁獲量が少なかった19年を下回る見通しだ。資源量の減少に加え、漁場の形成や来遊ルートが遠ざかっているのが大きな要因とされ、脂の乗りも期待できないという。

 従来、サンマは春から夏に北太平洋で餌を食べて成長し、冷たい親潮に乗って秋以降に千島列島から北海道や三陸沿岸に南下していた。海水温の上昇など海況の変化で日本の近海にサンマが近づかなくなり、近年は日本の排他的経済水域(EEZ)から遠い公海に長くとどまっている。

 資源管理を強化するため、水産庁は4月、サンマの21年漁期(1~12月)の漁獲枠を、前期比約4割減の15万5335トンとする方針を公表した。2月にあった日本や中国、台湾など8カ国・地域が参加する北太平洋漁業委員会(NPFC)の年次会合で、公海などでの総漁獲枠を40%削減する合意に対応した。

 ただ、20年に3万トン弱だった国内の現実と漁獲枠の差は依然大きく、需給や価格に与える影響はほとんどなさそうだ。サンマが日本の近海にたどり着く前に、中国や台湾の漁船に多くを漁獲されてしまう状況は続くだろう。実効性のある対策が求められる。

 サンマは生鮮流通だけでなく、缶詰などの水産加工や小売り、飲食、運送など裾野が広く、港町の経済に与える打撃は大きい。水揚げ不振、魚の不足と価格高騰、産業衰退という「負のスパイラル」が東日本大震災からの復興に狂いをもたらしている。

 水産庁の有識者検討会は6月、サンマなどの不漁に関し、資源量が増えているマイワシなどを挙げ、漁獲できる魚種の拡大といった収入源確保の対策、協業や養殖との兼業による柔軟な経営への転換を促進すべきだと提言した。

 既存漁業者との調整など課題はあるが、漁船漁業の構造改革と長期的な視点に立った支援を急ぐ必要がある。

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