社説(8/21):衆院任期残り2ヵ月/解散戦略より施策を考えよ

 衆院の任期満了(10月21日)まで2カ月に迫った。東京パラリンピックの開幕を24日に控え、新型コロナウイルス感染者の急拡大や頻発する自然災害への対応など幾多の重大事態にも直面している。政権に対する国民の諦めにも似た虚脱感は深刻で、与党・自民党には焦燥感が漂う。

 菅義偉首相は9日、閉幕した東京五輪について「さまざまな制約の下での大会となったが、開催国としての責任を果たし、無事に終えることができた」と総括した。

 共同通信社の世論調査(14~16日実施)で、「五輪が開催されてよかった」との回答は62・9%に上った。開幕直前まで吹き荒れた「大会中止」の大合唱が一転した。日本選手団が今大会で史上最多となる58個のメダルを獲得したのが大きな要因だろう。

 ここまでは首相官邸の読み通りといえる。ただし、五輪の成功と祝祭感を背景にした政権浮揚、ワクチン接種の促進に伴うコロナ収束を実績とした衆院選勝利-との筋書きは早くも狂い始めた。

 内閣支持率は下降の一途をたどり、前回調査(7月17、18日実施)から4・1ポイント減の31・8%に落ち込んだ。自民が民主党(当時)から政権を奪還した2012年以来、最も低い数字である。

 「安倍1強」時代を築いた安倍晋三前首相は、連続在職日数で歴代最長を記録した。浮沈を重ねた内閣支持率は、森友・加計学園問題などで政治不信が広がった17年7月の35・8%が最低だった。

 コロナ第5波の襲来やワクチン接種率の足踏みに加え、菅首相の指導力、メッセージ発信力のふがいなさが数字に表れたと推察できる。国難が続くさなかに早々と国会を閉じ、何ら抜本策を講じていないのではないか-。これが国民の本音だろう。

 30%を切る支持率は政権維持の危険水域とされる。危うい局面にある菅首相は、政権選択の選挙を前に厳しい現実を突き付けられた格好だ。

 パラ閉幕(9月5日)後の政治日程はタイトになる。菅首相の総裁任期は9月30日に満了を迎える。総裁公選規程に基づき、「17日告示、29日投開票」を軸に検討が進んでいる。スケジュールは今月26日の党総裁選挙管理委員会で決まる見通しだ。

 菅首相は当初、パラ終了後に衆院を解散し、総裁選を先送りする考えだった。首都圏などに出された緊急事態宣言の期限が9月12日まで延長され、様相が一変。党内には総裁選を先行させることを前提に、支持率の好転を期待して衆院選の任期満了、もしくは11月執行を望む声が上がる。

 「追い込まれ解散」に持ち込みたい野党は、言うまでもなく衆院選の繰り延べに反発する。政局の事情を知れば知るほど我田引水ぶりが気に障る。党利党略を練るより、コロナ禍で窮状を訴える国民のことを第一に考えてほしい。

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