財政難と医師偏在が「変革」迫る 宮城の4病院再編

 宮城県立がんセンター(名取市)と東北労災病院(仙台市青葉区)、仙台赤十字病院(太白区)の連携・統合構想は、県立精神医療センター(名取市)を加えた4病院を二つの拠点病院に再整備する枠組みで具体化した。病院周辺の住民から現地存続を求める声が強まる中、構想を主導した県が「変革」(幹部)にかじを切った背景には、患者減による経営難、地域間の医師偏在といった積年の課題が横たわる。

 県が9日公表した政策医療指針によると、各病院は慢性的な財政難を抱える。直近5年間(2015~19年)の当期純損益は赤十字病院が毎年9000万~11億7000万円の赤字を出し続けた。労災病院も16年を除く4カ年で約2億~9億円の赤字を計上した。

 県立2病院はさらに厳しい。数億円の黒字を確保した年度もあるが、県ががんセンターに毎年20億円以上、精神医療センターに毎年約8億円の負担金を拠出しての数字。政策医療を担う公立病院だけに採算が全てではないが、慢性的な赤字体質は改まっていない。

 仙台市内で基幹病院の競争激化も影を落とす。赤十字病院がある太白区には14年、市立病院が移転開業。労災病院周辺の半径8キロには、東北大病院をはじめ中規模以上の7病院が集中する。人口減少で患者も減り、医療関係者には「経営改革は不可避」との見方が根強かった。

 懸案だった医師の偏在解消に有効との指摘もある。医療圏の年齢別医師数などに基づく「医師偏在指標」で、国は仙台医療圏を県内唯一の「医師多数区域」とする一方、他の3医療圏を「少数区域」と認定。多数の医師を抱える4病院の再編が実現すれば、改善が期待される。

 新たな拠点病院の立地を巡っては富谷、名取両市が名乗りを上げた。仙台医療圏の医師割合を比べると、仙台市が84%(3677人)を占め、仙台市以外の13市町村は16%(676人)にすぎない。「病院が分散すれば『仙台一極集中』の是正につながる」(県議)との声もある。

 再編整備される二つの新病院は手を挙げた名取、富谷両市を含む仙台医療圏の南北への立地が濃厚とみられる。誘致合戦の激化に加え、勤務地変更に対する病院関係者の懸念も根強く、「地域バランスに配慮した苦心の折衷案」(関係者)という側面も否めない。

 村井嘉浩知事は9日の記者会見で「3病院の連携・統合で一つにしようと当初は動いたが、お互いに難しい面があった。四つのパズルを組み合わせ、いろいろ考えながら話し合った結果」と総括した。

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