閉じる

苦難の世界一周、足跡たどる 石巻若宮丸漂流民の会が創立20周年イベント 30日

 江戸時代に日本人として初めて世界一周をした石巻の千石船「若宮丸」乗組員の苦難と驚きの旅路をたどる「オンラインで結ぶ 若宮丸漂流民世界一周の旅」が、30日午後1時から石巻市千石町の石巻河北ビル1階かほくホールで開かれる。石巻若宮丸漂流民の会と三陸河北新報社が主催し、同会設立20周年記念イベントとして開催する。

 同会副会長で東北大名誉教授、前宮城学院女子大学長の平川新(あらた)氏が講演する。帰国した漂流民の話を聴き取りした蘭学者・大槻玄沢らがまとめた「環海異聞(かんかいいぶん)」の絵図を見ながら、世界一周の足跡をたどる。

 「若宮丸漂流民がいた町から」をテーマにしたオンラインリポートもある。サンクトペテルブルク(ロシア)、サンタカテリーナ(ブラジル)、アラスカ(米国)と、漂流民ゆかりの地の三重県鈴鹿市、北海道函館市、兵庫県・淡路島、東京都荒川区の国内外7カ所をオンラインで結び、各地の関係者から、現地の今を紹介してもらいながら、江戸時代における日露交渉史の舞台裏と漂流民が果たした役割などを検証する。

 会場のかほくホールではパブリックビューイングも実施。講演会やオンラインリポートの様子を大画面に映し、来場者に漂流民物語の歴史的意義への理解や見識を深めてもらう。

 若宮丸は、江戸に米や木材を運ぶため、乗組員16人で1793年に石巻を出航。嵐のため現在の福島県沖で遭難し、5カ月半の漂流の末、アリューシャン列島の小島に漂着した。乗組員はロシア国内を移動し、イルクーツクやサンクトペテルブルクなどで過ごした。この間に死亡、または帰化した12人を除く4人が、ロシアの遣日使節レザーノフらと一緒に大西洋、太平洋を航海し1804年、長崎に到着、石巻出航から11年後に帰国した。

 漂流民の会は、若宮丸漂流民の体験をより多くの人に知ってもらおうと、2001年12月に発足。市民レベルの草の根活動を通じてその足跡に光を当ててきた。

 オンラインでの参加は先着50人。申し込みはメール waka1793@gmail.com (大野さん)で。件名欄に「若宮丸オンライン希望」と入れる。25日午後11時59分締め切り。

 会場での観覧は申し込み先着30人まで。25日締め切り。連絡先は漂流民の会理事の本間英一さん090(9536)2354。

関連リンク

関連タグ

最新写真特集

石巻かほく メディア猫の目

「石巻かほく」は三陸河北新報社が石巻地方で発行する日刊紙です。古くから私たちの暮らしに寄り添ってきた猫のように愛らしく、高すぎず低すぎない目線を大切にします。

三陸河北新報社の会社概要や広告、休刊日などについては、こちらのサイトをご覧ください

ライブカメラ