衆院選・宮城5区 地方創生、人口対策どこへ 最重要課題置き去り
中盤戦に入った第49回衆院選(31日投開票)で、地方創生や人口減少対策の議論が置き去りにされている。各党は新型コロナウイルス対策や経済対策を争点に論戦を展開しており、コロナ禍で疲弊する地方の最重要テーマはかすんでいる。立憲民主党前議員と自民党新人が争う宮城5区でも論点になっていない。自治体関係者からは議論の深化に期待する声が上がっている。
東京一極集中を是正し、地方が活力を取り戻す地方創生の取り組みは人口減少が進む縮小社会で国政が担う大きな課題の一つ。コロナの感染拡大に伴い、都市部の企業でテレワークの導入が進んだのを機に東京から離れて仕事をする機運も高まり、移住を含め地方への関心度は向上している。
政権選択が懸かる衆院選で各党は「新しい資本主義」や「1億総中流社会」などを掲げて論戦を展開し、格差是正策を主張する。人口減に苦しみ、コロナで傷ついた地方の再生を巡る議論は片隅に置かれた形だ。
9選を狙う立民国対委員長の安住淳氏(59)と、元タレントで自民宮城5区支部長の森下千里氏(40)=公明推薦=が立候補している宮城5区でも、地方創生や人口減少を巡る論戦はなく、今後の議論の高まりに関心が集まっている。
東日本大震災から10年が経過した被災地では、人口減少が加速し、新型コロナが追い打ちを掛ける。地方を元気にする活性化策が急務だ。石巻地方では産業人材の確保・育成も喫緊の課題となっている。
最大被災地の石巻市は人口減少が加速する。市の関係者は「半島沿岸部の人口減は深刻で、高齢者の買い物や通院のための移動手段の確保が課題となっている。市民が住み慣れた地域で暮らせるよう、交通対策への支援が必要だ」と訴える。
石巻地方の自治体関係者は「国は東京圏に一極集中した人口を地方に分散し、地方は独自施策で移住者を受け入れることで、人口減対策は機能する。苦悩する地方に目を向けた視点で、コロナ後を見据えた地方創生の議論を深めてほしい」と指摘した。
■遊説日程(23日)
【安住陣営】
▽選挙カー=石巻市中里、向陽町、鹿又、五十五人、中津山、前谷地、蛇田西部、中央、駅前、万石浦、井内、水押
【森下陣営】
▽選挙カー=雄勝、波板、大須、船越、名振、針岡、福地、三輪田、南境、大瓜、真野、井内、不動町、水明、水押、住吉、中央