不在者投票、間に合わない例が相次ぐ 郵便事情の悪化が影響か

 先月31日投開票の衆院選で福島県の不在者投票が開票に間に合わなかった問題で、東北の他県でも同様の事例があったことが9日、分かった。いずれも郵便配達事情の変化が影響したとみられ、選挙の仕組みに詳しい専門家は「投票する権利の侵害になりかねず、早急に運用や制度を見直す必要がある」と指摘している。

 不在者投票は選挙人名簿に登録されている市町村以外で投票できる制度。有権者は投票用紙を請求して別の市町村選管で投票、各自治体に郵送してもらう。

 今回の衆院選では10月30日まで不在者投票が可能だった。翌31日の投票締め切りまでに到着した分が開票対象となるが、11月1日以降に各選管に到着した不在者投票用紙は福島県内だけで計119人分。他に青森市で18人分、秋田市で13人分、盛岡市で9人分、仙台市で33人が確認された。

 ほとんどは期限の30日に投票し、投票した自治体の選管が速達扱いのレターパックで送ったものの、翌日には届かなかったとみられる。

 秋田市選管の担当者は「相模原市や愛知県豊田市に加え、能代市から送られた投票用紙も間に合わなかった。30日は土曜日。10月から土曜配達が廃止され、郵便局の対応も難しくなっているのではないか」と話す。同様のケースは他の市町村でもあった可能性がある。

 福島県で無効になったのは市町村別では浪江町の33人分が最も多く、次いで南相馬市27人分、郡山市12人分など。東京電力福島第1原発事故で今も約2万8000人が県外に避難しており、不在者投票の重要性は極めて高い。

 内堀雅雄福島県知事は8日、定例会見で「民主主義の根幹に関わる事態」と述べるなど深刻に受け止めている。

 選挙制度を研究している神戸大大学院法学研究科の品田裕教授は「不在者投票は郵便制度に依存してきたが、最近になって郵便事情が急速に悪化していることの結果ではないか」と指摘。「有権者に落ち度はなく、憲法上の権利である選挙権の侵害にもなりかねない。制度そのものの改善を進めなければならない時期になっている」と話す。

不在者投票に使用される書類。右の用紙で請求すると、中央の投票用紙と封筒が有権者に届き、各地の選管で投票できる
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