残留失敗、経営さらに苦しく ベガルタJ2降格(下)

湘南戦で試合中にうつむく仙台の手倉森監督=20日、ユアスタ仙台

「背水」の予算

 J1残留のための赤字予算は、結果的に経営を苦しめるだけになった。

 今年1月、3億4000万円の損失を見込む2021年度(21年2月~22年1月)予算を発表した運営会社、ベガルタ仙台。記者会見で佐々木知広社長は「トップチームの経費を前年度並みに確保した。J1で戦い続けていくことが重要だと思っている」と説明した。

 当初の21年度予算案は選手の人件費に当たるチーム経費を前年度から3億円ほど削減して黒字見込みだった。だが、取締役会で「これではJ1に残れない」という意見が出て方針転換。これまでと同規模の経費を計上し、経営的に背水の陣で残留を目指すことになった。

他クラブの半分

 運営会社が覚悟の上で用意したトップチームの経費だが、リーグ全体を見ればさほど大きな額ではない。7月にJリーグが公開した各クラブの20年度の決算一覧によると、仙台のチーム人件費は12億4600万円。18チーム中15番目の規模だ。最高額は神戸の63億9600万円で、優勝した川崎は30億3600万円。リーグ平均は24億3100万円。仙台は平均に遠く及ばない。

 強化部関係者は「他クラブの半分ぐらいの経費で互角に渡り合えるような戦力を整えないといけないのが現状」と苦しい台所事情を打ち明ける。

 経営再建は道半ばだ。経費削減やスポンサー収入の上乗せがあり、20年度決算、21年度決算見込みはともに当初からの赤字幅が縮小した。今期末で3億7300万円を見込む債務超過は、スポンサー収入の強化や増資で22年度中に解消する方針を打ち出している。

 しかし、これはあくまでJ1にいることが前提の経営計画。J2降格により、来季はJリーグの配分金とスポンサー収入の減少という新たな経営課題が浮上する。佐々木社長は「(降格を含めた)複数のシナリオは用意してある」と説明を繰り返してきた。

 J1再昇格のための第一歩を、シナリオに無かった手倉森監督の退任という形で踏み出した。同時に、クラブ再建を懸けた戦いも始まった。

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