「守備重視」反作用招く ベガルタJ2降格(上)

 J1仙台は下位4チームがJ2降格となるサバイバルレースに敗れ、2試合を残して降格が決まった。東日本大震災のあった2011年に4位、12年は2位と躍進し、被災地の「希望の光」となってから10年。輝きを取り戻せなかった今季を振り返る。(射浜大輔、丹野大)

横浜M戦で選手に指示を出す仙台の手倉森監督=4月11日、ユアスタ仙台

大敗し方針転換

 「これがリードされているチームなのか。がむしゃらに走って、もっと前からボールを奪いにいかないと」。引き分けに終わった7日の名古屋戦。観戦した元日本代表選手は前半に先制された仙台の戦い方に首をかしげた。手倉森監督が目指したチーム像とは懸け離れていた。

 8季ぶりに仙台を率いることになった手倉森監督は、就任記者会見で「守備はゴールを守るのではなく、ボールを奪う」と力説。高い位置でボールを奪い、ショートカウンターから得点を重ねて2位と躍進した、2012年の「積極的守備」を念頭に置いた発言であることは明白だった。

 理想はいきなり厳しい現実にぶち当たる。相手の高い決定力もあり、第2節川崎戦、続く鳥栖戦で、ともに5失点と守備が崩壊して大敗。次節も湘南に3失点して屈した。指揮官はまず、素早く帰陣しブロックを形成する守備で、失点を減らす方向へかじを切らざるを得なかった。

8月1得点のみ

 4月の横浜M戦を無失点で切り抜け、ようやく立て直しの兆しを見せた。5月には518日ぶりのホーム勝利。浮上のきっかけをつかんだように思えた水面下で、守備重視の反作用にむしばまれていった。

 陣形の重心が下がる。縦への推進力は勢いをそがれ、FW西村らは前線で孤立し、得点の匂いは薄れた。「勝負の月」と位置付けた8月は6試合でわずか1得点と、その傾向が顕著に表れた。

 11戦未勝利と低迷する中、指揮官は再度、理想を掲げる。「高い位置でのボール奪還が相手に最も圧力をかけられる。残り11戦は耐えて勝つだけでは駄目だ」。9月のG大阪戦を前に強調した。

 その後は理想を体現した試合もあった。しかし、残留争いの重要な一戦ほど、以前の慎重さが表出した。降格が色濃くなったシーズン終盤、ある選手は「チームとして、高い位置から点を取って勝ち切る姿勢の方が、僕はいいのかなと思う」と話した。守備に傾き過ぎたてんびんの針は、元に戻らなかった。

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