河北春秋(11/25):真夜中の洋館。寝室のドアノブがガチャガチ…

 真夜中の洋館。寝室のドアノブがガチャガチャと鳴る。「誰だ」と怒鳴ると廊下を走り去る音。ドアを開けると誰もいない。森喜朗さんが首相時代に体験した怖い話。現場は首相官邸の隣にある首相公邸だ▼1929年完成で2002年までは官邸。赤れんがの重厚な外観を覚えている方も多いだろう。この館、五・一五事件と二・二六事件で流血の歴史がある。「夜中に軍靴の音が聞こえる」などうわさは絶えず、宮司に清めてもらったとの逸話も。そのせいか歴代首相には不人気▼「住まなきゃいけないかな」。車で数分の議員宿舎から通う岸田文雄首相が漏らしたという。安倍晋三、菅義偉両氏は公邸に入らず首相経験者から「首都直下地震が起きたら官邸に来られない」と指摘された。危機管理を重視し「転居」を検討しているようだ▼ただ「公邸に住むと短命政権」というジンクスも。入居した首相のうち小泉純一郎氏以外は1年前後で退陣。安倍さんは私邸から通った第2次政権が憲政史上最長だった。岸田さんは気にしないのだろうか▼直前の菅さん。議員宿舎から通ったが、内閣は384日。「お化けを見た」という森さんより3日短かった。長期政権を見据えた岸田さんの験担ぎか。いずれにせよ、公邸を巡る都市伝説は増えそうだ。(2021・11・25)

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