通年誘客へ果樹園が自販機導入 果物や加工品、ギョーザも登場

冷凍機能付き自販機で取り扱いを開始した新商品のギョーザを手にする矢萩社長

 山形県天童市で観光果樹園を運営する「やまがたさくらんぼファーム」が、果物や農産加工品を扱う自動販売機の導入に本腰を入れている。昨年末に自販機コーナーを開設し、農閑期や夜間の安定した現金収入につながった。新たにギョーザの冷凍販売を19日に始めるなど商品を多角化し、仙山圏などからの観光客らが気軽に購入できる場として多くの誘客を目指す。

 設置場所は宮城、山形両県を結ぶ国道48号沿いで運営する「王将果樹園」敷地内。新型コロナウイルスの感染が拡大した昨年12月、事業継続を支援する農林水産省の補助金を活用し、ロッカー型の自販機3基を夜間照明とともに設置した。ブドウやリンゴ、サクランボなど季節の果物を24時間販売し、多い時で月40万円を売り上げた。

 国道沿いには観光果樹園が並ぶが、冬の農閑期は駐車場の除雪に手間が掛かるため同社も含めて店舗を閉鎖する。矢萩美智(よしとも)社長(45)は「通行量の多い国道沿いの立地を生かしたビジネスチャンスと考えた。農閑期や夜間でも現金収入を得られるほか、売れ筋商品を確かめる機会になった。果樹園の広告塔としてのPR効果もあった」と喜ぶ。

 好調な売り上げを受けてロッカー型を1基増やしたほか、今年9月に加工品のジュースを扱う飲料用1基を導入した。さらに新設した冷凍機能付きの1基は農産物の6次化用でアイスキャンデー、ジェラートや冷凍ギョーザを販売する。

 ギョーザは国道名に掛けて「大判48餃子(ぎょうざ)」(12個入り540円)の名称で、同社の社員食堂で提供しているメニューを商品化。地元の加工業者に製造を委託し、山形県産の豚肉や野菜、収穫したリンゴの果汁を加えたあんを大ぶりの皮で包み優しい味に仕上げた。

 来年2月にはロッカー型など3基を入れたエアコン付きの小屋を設け、夏場でも温度を管理し、果物や地元の障害者に製造を委託した加工品などを販売できる態勢を整える。既設を含め計12基で年間1000万円の売り上げを見込む。

 イメージは「オートレストラン」だ。そば、うどんの自販機などがある無人店舗として1970年代に全国のロードサイドで普及し、コンビニエンスストアの台頭で衰退した現在も、「昭和レトロ」として根強い人気がある。

 「自ら操作して商品を買う楽しさは自販機ならでは。いずれは電子レンジで加熱して食べられる場も考えたい」と矢萩社長。直販やオンラインショップ、観光業などと並ぶ収入の柱として期待を寄せる。

昨年12月に導入した果物のロッカー型自販機。農閑期の現金収入につながっている

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