<2021年 宮城を振り返る>衆院選の女性挑戦 共感する素地、徐々に整う

 東日本大震災から10年となった一年が暮れる。被災地は新たな歩みを進め、延期された「復興五輪」が新型コロナウイルス下で開催された。コロナ下での選挙も相次いだ。医療、事故などのニュースも。現場で取材した記者が振り返る。

野党共闘で与野党1対1の構図が強まる中、1区では女性3人が立候補した

 「宮城1区の候補は4人中3人が女性か。記事にした方がいいんじゃない」。衆院選(10月19日公示、31日投開票)で、同僚の男性記者から提案を受けた。

 「いまだに女性が多いことがニュースなのか」。宮城1区のような構図が普通であってほしいと思い、期間中の執筆は見送った。

 政治分野の男女共同参画推進法が2018年に施行されて、初めての衆院選。女性候補の割合は全国で17・7%(186人)にとどまったが、県内6小選挙区では47・1%(8人)ともう少しで半々に。「25年までに35%」と掲げる政府目標を上回った。もっとも、8人のうち与党は1人だけだったが…。

 1区に立った立憲民主党の岡本章子さん(57)=比例復活=は「ハードルを乗り越え、複数の女性が手を挙げたことは画期的。候補者個人を見る選挙になる」と歓迎した。

 「選挙資金を捻出できない」「家族の理解を得にくい」「政治に関心を持つ余裕がない」。この国の男女格差を背景に、女性が選挙に挑む障壁は多い。

 いざ選挙に入ると、新たな壁が立ちふさがった。1区で日本維新の会から出た春藤沙弥香さん(40)=落選=は「インターネットで外見へのコメントが寄せられるなど、誹謗(ひぼう)中傷は男性より多い」と振り返った。

 「妻が常に一緒にいて、頭を下げている姿を支援者から求められがち」。苦しさを胸にしまい込んだ男性候補もいると、岡本さんが教えてくれた。

 鉢巻きを締めて涙を流す妻。雨の中、傘も差さず訴える候補者。家族総出による悲壮感の演出。振り返れば、時代にそぐわない風景が残されたままだ。私たちも選挙報道で片棒を担いでいないか、自問する。

 候補者の男女同数を義務付ける「パリテ法」、一定数を女性に割り当てる「クオータ制」の導入に向けた動きは鈍い。しかし県内、特に仙台市では、女性が声を上げることに共感する素地が整ってきている。メディアの側も、旧態依然の意識を改める不断の努力が求められている。
(報道部・相沢みづき)

[メモ] 新型コロナウイルス下で初めての全国的な選挙となった衆院選は、岸田文雄首相(自民党総裁)の就任から10日後の衆院解散と解散から17日後の投開票が戦後最短。任期満了日(10月21日)を越えての衆院選も現憲法下で初めてと異例ずくめ。県内の投票率は55・87%で、前回2017年を3・04ポイント上回った。

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