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石巻、女川魚市場の年内業務終了

年内最後の入札を行った女川魚市場=28日午前9時ごろ

 石巻、女川両魚市場は28日、今年の業務を終了した。春の訪れを告げる石巻のコウナゴは2年連続で水揚げゼロに終わり、女川を代表するサンマも歴史的不漁に見舞われた。温暖化による海洋環境の変化や新型コロナウイルスの影響も長引き、両市場ともに振るわなかった。

石巻魚市場

<目標180億円には届かず>

 石巻魚市場は水揚げ量が約9万8400トン、金額は約162億円。前年比で数量は2900トン減ったが、新型コロナウイルスの終息を見越した取引があったことなどから、目標とする180億円に達しなかったものの、前年を約5億円上回った。入港隻数は約4万2000隻で、2500隻減った。

 コウナゴ漁だけでなく、秋サケやタラなど、柱になる魚種の水揚げも低調。11月15日に石巻のブランド魚「金華さば」のシーズン到来を宣言したが、一度で1000トンを超える水揚げの回数が少なかった。まとまった数量を捕れず、他魚種の不足分をカバーするまでには至らなかった。

 主力魚種が影響を受けるなか、今年は養殖銀ザケの需要が高まった。佐々木茂樹社長は「漁獲量が左右される天然魚と違い、安定供給できるのが強み。買い受け人も計画を立てやすいのではないか」と話す。

 「原因はさまざまあるが、1月からの水揚げに期待し、来年は目標とする量と金額を達成したい」(佐々木社長)と前を見た。

女川魚市場

<前年比5億6000万円減>

 女川魚市場は数量約4万6700トン、金額約64億6000万円。前年から数量は3700トン増えたが、金額はサンマの不漁が響き、5億6000万円の減。入港隻数は4773隻で358隻プラスになった。

 主力のサンマはわずか1200トン、8億1200万円の歴史的不漁で終えた。加藤実社長は「最盛期の水揚げ1回分が年単位になってしまうほど落ち込んだ。こんなに悪い年は記憶にない」と振り返った。

 昨年は全国的な不漁の中、水揚げ5060トン、金額22億3000万円を記録し、県内トップの座を気仙沼から10年ぶりに奪回した。

 サンマ漁は落ち込んだが、海外巻き網船の入港やこれまで見られなかったタチウオ、イナダといった、南で捕れる魚の水揚げが増えているという。

 加藤社長は「南の魚は常時水揚げされるわけではないため、主力として考えることは難しい。不漁と言われる中でもやっていける市場運営をしなければいけない」と話した。

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