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とうほく潮風ドライブ・北へ(中) 大船渡-田老南

ラグビーワールドカップで熱戦の舞台になった釜石鵜住居復興スタジアム
1、2階が津波で突き破られた「たろう観光ホテル」。目の前には震災前より4.7メートル高くなった高さ14.7メートルの防潮堤が立つ

 大船渡市の大船渡インターチェンジ(IC)から北上を再開した。岩手県に入ってからトンネルが増えたことに気付き、海と山がつながるリアス式の地形を実感した。

 釜石両石ICから釜石市鵜住居地区に向かった。2019年のラグビーワールドカップで会場になった釜石鵜住居復興スタジアムを目指す。大会に夢中になり、かねて訪れてみたかった。スタンドからピッチを眺めると、当時の熱気がよみがえった。

 スタジアムは津波で全壊した小中学校の跡地に建てられた。児童生徒が避難したのが開通したばかりの三陸沿岸道だった。近くの市の震災伝承施設「いのちをつなぐ未来館」では、防災教育の成果だった子どもたちの主体的な避難行動を解説していた。

 三陸道を50キロほど走り、宮古市田老地区に立ち寄った。市の震災遺構「たろう観光ホテル」は下層階の鉄骨がむき出しで、津波の威力を物語っていた。

 宮古観光文化交流協会の防災ガイドでは、ホテルに押し寄せた津波の映像を当時撮影した6階で放映する。ガイドの沢口強さん(41)は「ここでしか見られない映像だ。田老の防潮堤の歴史も学ぶことができる」と自負した。

 未来館でも観光ホテルでも、沿岸被災地からの訪問は少ないと聞いた。震災の遺構や伝承施設は各地に点在するが、得られる教訓はそれぞれ異なる。沢口さんは「一本につながった高速道路で、被災地間の交流も活発になれば」と願った。

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