とうほく潮風ドライブ・北へ(下) 田老南-八戸是川
宮古市からさらに北に向かう。まだまだ岩手県が続く。全都道府県で北海道に次ぐ広さを痛感する。
久慈市の久慈インターチェンジ(IC)から目指したのは小袖海岸。「北限の海女」で知られ、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」のロケ地になった浜だ。
ドラマに登場した白い灯台や素潜り実演場を見て、名場面を頭の中で再生した。夏場は海女が体一つでウニや海藻を採る姿が見られる。海底火山が噴火してできたという大きな奇岩「夫婦岩」はドラマを知らない人にも一見の価値がある。
久慈ICを出て30分ほどで青森県に入った。三陸沿岸道も終点に近い。最後のICとなる八戸市の八戸是川ICで下りて市中心部に向かった。
八戸には石巻市の「金華さば」と並ぶ東北のブランドサバ「八戸前沖さば」がある。最終目的地は全国でも珍しいサバ料理専門店「サバの駅」に決めていた。
八戸港はサバの主要港では本州最北端。冷たい海を回遊するサバは脂の乗りが日本一とも言われる。ブランド化を進めた中心人物でもある沢上弘社長(69)は「金華さばに追い付け追い越せでやってきた。冬のものは金華よりうまいよ」と笑顔で話してくれた。
定番だけでなく、みそ締めや棒ずしの天ぷらといった変わり種もメニューに並ぶ。生に近い締めさばは魚のうま味を堪能でき、串焼きはとろけるような食感で絶品だった。サバの脂をたっぷり取り込み、運転で凝り固まった体がほぐれた気がした。