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企画特集>学ラボ 石巻専修大・研究室だより

本田秀樹教授(ほんだ・ひでき):1967年8月、新潟県南魚沼市出身。東北大工学部卒。91年4月に東北電力入社。電力中央研究所出向などを経て2018年4月から現職。気分転換はジョギングで昨年11月にはフルマラソンを完走した。仙台市青葉区在住。
三橋勇太助教(みつはし・ゆうた):1993年2月、京都市生まれ。東北学院高、立命館大卒、来年夏に東北大大学院情報科学研究科博士後期課程修了予定。昨年4月から現職。気分転換はゲーム「ファイナルファンタジーXIV」と幼少期から続けるバイオリン演奏。最近ピアノを習い始めた。仙台市泉区在住。

 石巻専修大(石巻市南境)の専任教員の研究内容や学生へのメッセージを紹介する「学ラボ」。4回目は理工学部の本田秀樹教授と経営学部の三橋勇太助教に聞いた。(月1回掲載)

理工学部情報電子工学科・本田秀樹教授

<社会で力発揮する人材に>

 発電、送電などの電力設備と一般家庭、スーパー、工場などの需要家で構成された電力システムを専門に研究する。自然条件によって影響を受けやすい再生可能エネルギーの普及が進み、周波数や電圧を適正に維持することが難しくなっている。こうした課題を解決するため、安定的で効率的な運用に向けた研究を目指す。

 「電気は目に見えないが、どうやって停電を減らして周波数や電圧の変動を抑えるかなど電力システムの研究は課題や対策をイメージできる。学生には日常生活に欠かせない電力システムはどうあるべきかを考えて取り組んでほしい」と話す。

 主な研究テーマは配電系統の電圧適正化と雷害対策。電圧適正化の研究では電気事業者が対策機器を設置する現行の仕組みに対し、需要家が主体的に電圧適正化に参加する新たな仕組みを2001年に学会で発表した。20年には太陽光発電と蓄電池の組み合わせによる電圧適正化の効果についても発表した。

 雷害対策の研究では配電系統における雷害対策の実施状況と雷事故の実績、落雷位置標定システムのビッグデータを分析。費用対効果に優れた雷害対策を示すなどの研究を行っている。

 大学では1年生向けに電圧や電流の測定機器の仕組みを教える「電子計測の基礎」、2、3年生向けの「電磁気学」、3年生向けの電力変換に関する「パワーエレクトロニクス」、電子制御とセンサーを扱う「自動車制御工学」といった講義を受け持つ。

 4年生5人のゼミ生には毎回自身で調べた内容を他のゼミ生向けに発表してもらう。質疑応答の機会も設ける。「講義は受け身でもゼミでは責任を持って自発的に取り組んでほしい」との思いがある。

 「大学生活は社会に出るための訓練の場。サークル活動や就職活動も含めてしっかり経験を積み、社会で力を発揮できる人材になってほしい」と願う。

経営学部情報マネジメント学科・三橋勇太助教

<苦手分野避けず向き合う>

 観光学や社会心理学を専門に研究する。

 宮城大教授を務めた父親の影響で小学生の頃から大学という存在が身近にあった。高校3年の時に東日本大震災が発生、その際に「将来をしっかり見据えないと」と危機感を抱いて進路を考え抜き、大学教員の道を志した。

 最近論文を発表したテーマは「個人の性格特性と観光動機との関係性」。大学生を対象に性格特性と観光動機を問うアンケートを基に分析を行っている。具体的には観光動機を上げる性格特性は外向性、協調性、開放性、下げるのは勤勉性であるなど性格を形作る要素がどのように観光動機に影響を及ぼしているのかを明らかにした。今後はこの関係性を「共分散構造分析」という手法を用いて構造方程式モデルとして確立することを目指す。

 このモデルを確立できれば、外向性の高い性格の人にはアクティビティ、勤勉性の高い性格ならリフレッシュや達成感につながる温泉、トレッキングといったより個人の潜在的なニーズに合わせた観光の提案にも生かせる。「観光向けのアプリやサイトでレコメンド(お勧め)システムがあればモデルを有効活用できる。観光情報を提案する一助になれば」と言う。

 大学ではホスピタリティ論、プログラミング応用といった講義を担当。教員5人で受け持つフレッシュマンセミナーでは、収集した情報の整理やまとめ方、プレゼンテーションの方法を教える。「社会へ出る前に必要な要素を身に付けてほしい」と語る。

 学生に贈る言葉として苦手意識を持つ分野と避けずに向き合うことを挙げた。「苦手なものの中にもロジカルな考え方など得られるものは必ずある。何事も失敗を恐れずに挑戦してほしい」。得意分野については「大学生活の4年間で関心や興味、長所を伸ばせるようにこつこつ取り組んでほしい」とエールを送る。

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