社説(1/28):ガソリン高抑制策発動/急場しのぎ 実効性に疑問

 ガソリン価格の高騰に歯止めがかからず、政府は3月末を期限に補助金で価格を抑える異例の措置に踏み切った。

 補助金は石油元売り各社に支給されるため店頭価格に確実に反映されるかが課題だ。

 灯油の需要期でもあり、消費者側が効果を実感できなければ元も子もない。新型コロナウイルス禍で経営が圧迫されている事業者も多い。原油高が4月以降も続く事態も想定しておく必要がある。

 レギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格は、24日時点で170円20銭に上昇し、政府が価格抑制措置の発動基準と定めた170円を突破した。

 補助はガソリンや灯油のほか軽油、重油の計4種が対象。当面は発動基準を上回る20銭に直近の上昇分の3円20銭を加え、全国一律で3円40銭となる。措置はきのう初めて発動され、補助金は順次支給される。

 元売り各社に対し、補助金相当分を差し引いた販売を義務付けたが、店頭価格がその分、自動的に下がるわけではない。理由は多々ある。

 ガソリンスタンド(GS)側は卸売価格に輸送費や人件費、利益を上乗せして販売する。輸送コストがかさむ内陸部や競合店が多い都市部など、地域や店舗ごとに事情が異なるため、いくらで店頭販売するかは業者の判断に委ねられる。

 制度上の制約もある。店頭価格の設定に国が介入することはできず、元売り各社が小売り側に値下げを指示すれば、独占禁止法に抵触しかねない。補助は1リットル当たり5円が上限で期間は3月末までと短い。一時的な対症療法にすぎず、焼け石に水に終わる恐れが否めない。

 対策費として約800億円が2021年度補正予算に計上されたが、現行の補助レベルが続いた場合、予算は底を突く可能性がある。

 経済産業省はGSや軽油・灯油の全販売店に対し、価格調査を行うという。

 GSが多く立地する地域では価格競争が激化し、仕入れ値の上昇分を小売価格に十分転嫁していない店が少なくないとみられ、その穴埋めに充てる動きが予想される。

 調査は実態の確認にとどまるため、補助金の効果がユーザーに行き渡る前に雲散霧消しかねない。

 現状の価格高騰は、コロナの新変異株「オミクロン株」が世界経済の大きな妨げにならないとの観測が広がり、需要増を見通した動きだ。

 ウクライナ情勢の緊迫化も原油価格を押し上げている。世界的な脱炭素の潮流から化石燃料離れが加速しており、需給は逼迫(ひっぱく)しやすく、原油高が沈静化する要因は見当たらない。

 急場しのぎの激変緩和策ではしのげない構造的な問題だ。ガソリン税の在り方を含め、政府は恒常的な原油高対策を検討すべきだ。

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