自動車ユーザーが支払う自動車損害賠償責任(自賠責)保険料が2023年度以降、最大で年間150円引き上げられる見通しとなった。国土交通省は関連法改正案を今国会に提出する。事故被害者の支援事業などに充てる原資の充実が目的だが、ユーザーに負担を求める以外にすべきことはないのか、十分に吟味する必要がある。
被害者支援事業は国交省所管の自動車安全特別会計で運営され、22年度は事故防止事業と合わせ147億円を予算案計上した。支出分は積み立てた保険料の運用益で賄われる。低金利で運用収入は振るわず、過去5年だけでも積立金から毎年77億~91億円を取り崩して不足分に充てた。
国交省が「破綻」と評する会計運営の一因は、かつて一般会計に貸し出した分の多くが返還されていないことだ。
政府は1994、95の両年度、財政難を理由に自動車安全特会から計1兆1200億円を一般会計に借り入れた。96年度から2003年度までに6900億円を返還したが、04年度以降は中断。18年度から再開したものの、毎年度の返還額は利子分の数十億円にとどまる。21年度末の未返還は6006億円、積立金残高は1504億円を見込む。
鈴木俊一財務、斉藤鉄夫国交の両大臣間で昨年暮れ、22年度の返還額を前年度から7億円増の54億円とし、今後5年間は同水準の返還を続けることで合意。加えて、賦課金の拡大による保険料引き上げに向けた結論を早期に得る方針も確認した。
賦課金の拡大は、運用益頼みでは金利情勢に左右され、財源が枯渇しかねないとの懸念が背景にある。事業を将来も安定的・継続的に実施するための方策を求める声は事故の被害者側からも出ていた。
被害者支援事業は、遷延性意識障害など最重度の後遺障害者を受け入れる東北療護センター(仙台市太白区)など全国4カ所の療護施設の運営や各地の病院への病床委託、家族への介護料支給などからなる。
交通事故死者は年々減少している一方、重度後遺障害者数は横ばいの現状を考えると、支援の水準を低下させるわけにはいかない。安定した制度設計を目指すことに異論はないが、積立金の取り崩し分にも満たない返還額が続く状況は正常と言い難い。
積立金は税金と異なり保険料が原資で、本来の目的に最優先で使われるべきものだ。新型コロナウイルス禍で一般会計の厳しさは増しており、今後も返還が大きく進展することは望めない。保険料引き上げを招いた責任の多くは財務当局にあり、自らユーザーに理解を求めるべきだろう。
国交省も、引き上げの名目となった被害者支援の充実強化を看板倒れにすれば国民の信頼を失う。被害者の多様なニーズに応える姿勢が、これまで以上に必要となる。
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