「敬老乗車証」の見直し作業に着手 仙台市、利用者の負担増検討か

敬老乗車証ICカード

 仙台市は1日、70歳以上の市民が市バスや地下鉄を1割負担で利用できる「敬老乗車証」の見直し作業に新年度から乗り出す方針を明らかにした。2026年度までに結論を出す予定で、制度変更となれば12年度以来となる。高齢化の進展で事業費は膨らむ一方のため、利用者負担の増加や交付対象年齢の引き上げを検討するとみられる。

 市議会2月定例会予算等審査特別委員会で、加藤邦治健康福祉局長は敬老乗車証制度の方向性を問われ、「今後も高齢者の増加が見込まれる中、将来に向けて持続可能なものとするため、制度の在り方を考えなければならない」と述べた。

 市は行財政改革の推進に向け、新たな市役所経営プラン(22~26年度)に敬老乗車証の「受益と負担の適正化」を検討項目として盛り込む方針。22年度は乗車証の利用実態を調査する。

 10~20年度の交付者数と事業費の推移はグラフの通り。乗車証の利用は申請が必要になるが、交付者数は高齢化とともに右肩上がりに増え、20年度は13万4663人と10年前に比べ3割増となった。70歳以上人口の7割を占めている。

 自己負担分を除く残り9割を補助する事業費は利用状況によって増減する。20年度は新型コロナウイルスの影響で減少したものの、16年度以降は年間30億円に迫る勢いが続く。コロナ前の19年度は過去最多の約29億3500万円に達した。

 敬老乗車証は高齢者の社会参画を促そうと、市が1973年度に導入した。無料で乗り放題の期間が長く続いたが、2002年度に制度を変更。年間5000円負担で乗り放題か、自己負担なく年間1万円まで利用可能か、選択制とした。

 現行制度は12年度に始まった。利用額に応じて利用者負担が増える「応益制」を採用し、1割の自己負担と12万円の利用上限を設けた。16年度にはICカードに切り替え、1000円チャージにつき100円を自己負担する方式に変えた。

 敬老パスの見直しは他の政令市でも進む。名古屋市は2月、乗り放題に利用制限を設けた。京都市は10月以降、対象を70歳から75歳に段階的に引き上げる。

 両市とも事業費を圧縮する一方、利用区域を広げるなど利便性向上も図る。仙台市の担当者は「乗車証の制度を変えるにしても、インセンティブ(動機付け)は必要だろう」と話した。

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