「就労、教育どうする」ウクライナ避難民支援は課題山積 東北の自治体

 ロシアの侵攻が続くウクライナから逃れ、政府専用機予備機で来日した避難民ら=5日午後、羽田空港

 ロシアに侵攻されたウクライナからの避難民受け入れを表明する自治体が東北でも増えている。温泉宿や東日本大震災の災害公営住宅など滞在先の準備は整いつつあるが、就労や子どもの教育といった「その後」の支援には課題が山積する。

 盛岡市は3月下旬、住居、生活、相談、就労の4項目からなる支援メニューを発表した。市内二つの公共宿泊施設で約1週間受け入れた後、市営住宅に入居してもらう。市社会福祉協議会などと協力し、食料や日用品を無償で届ける。

 ウクライナ語対応の翻訳機を貸し出し、商工会議所を通じて働き口も探す。市の担当者は「震災で沿岸部から被災者を受け入れた経験を生かしたい」と話す。

 青森県南部町は町民と結婚したウクライナ人女性の知人らの避難を想定し、準備を進めてきた。家具が備わる移住者向け「お試し住宅」への入居のほか、町内の農家や介護施設での勤務を促す計画だった。

 女性の知人らが避難の意思を示していないため、町は広く避難希望者を受け入れる方針に転じた。担当者は「東京まで車で迎えに行く。定住してもらうことも考えている」と明かす。

 山形県南陽市は市内の赤湯温泉旅館協同組合と協力し、旅館の部屋を確保した。最大5世帯15人を受け入れる。宮城県石巻市は災害公営住宅の空き部屋を利用。避難民の雇用に積極的な市内の企業も紹介する。

通訳の確保にも苦心

 震災後に世界中から援助された東北では今回、受けた恩を別の人に送る「恩送り」と捉えて支援を表明する動きが目立つ。ただ、意欲先行で受け入れ態勢が不十分なケースも多く、特に通訳の確保に苦心する。

 山本正徳市長が3月10日に受け入れを表明した岩手県宮古市は、市国際交流協会を通じてウクライナ語を話せる人材を現在も探している。市の担当者は「学校での子どもの受け入れや日本語教育をどうするのかも含めて、受け入れの枠組みは整理できていない」と悩む。

 宮城県栗原市も市の国際交流協会に依頼したが、ウクライナ語の通訳は見つからなかった。「珍しい言語で、なかなかいない。県にも協力を求める」という。陸前高田市の担当者も「国や県からの情報がなければ、通訳の準備は難しい」と嘆く。

 3月下旬に受け入れ表明した秋田県横手市の担当者は「具体的な受け入れ態勢を考える段階にまで至っていない」と打ち明ける。

 市営住宅の空き部屋を用意する仙台市は就労支援や教育の面で、仙台観光国際協会が運営する仙台多文化共生センターなどに協力を依頼。市の担当者は「外国人の受け入れ実績がある機関と密に連携する。地域全体で態勢を整えることが不可欠だ」と指摘する。

 政府専用機で5日に来日した20人の一人、ルバン・オリガさん(34)が滞在する福島県二本松市は、以前から交流のある独協医大国際疫学研究室の木村真三准教授と今後の支援策を検討する。福島県も市と連携する。

ポーランドからウクライナ避難民を乗せ、羽田空港に到着した政府専用機(手前)。下はターミナルへ向かう避難民を乗せたとみられるバス=5日午後2時11分

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