白石・刈田病院 国の助言受け民営化へ 市長「公益法人が有力」

国の通知を受け取った後、報道陣の取材に応じる山田市長(手前左)=18日午後1時15分ごろ、県庁

 宮城県白石市の公立刈田総合病院を運営する組合管理者の山田裕一市長は18日、国のアドバイザー派遣事業を活用して2023年4月を目標に公設民営化を推進する意向を表明した。指定管理者の委託候補に公益社団法人「地域医療振興協会」(東京)の名を挙げ「非常に有力な受け手になる存在」と述べた。

 アドバイザー派遣は総務省と地方公共団体金融機構が共同で実施する「経営・財務マネジメント強化事業」に基づき、団体の要請に応じて公認会計士らが派遣される。18日に県を通じて国から申請採択の通知があり、山田市長が県庁で報道陣の取材に応じた。

 組合は当初、国と協会が共同で行う「公立病院医療提供体制確保支援事業」の活用を検討していた。これに対し、総務省準公営企業室は「既に病床機能の転換や経営形態の見直しに関する計画を策定済み」とした上で「経営・財務マネジメント強化事業の活用が妥当」と判断した。

 総務省は、組合が取り組むみやぎ県南中核病院(大河原町)との連携プランや公設民営化を盛り込んだ今後10年の資金不足解消計画の内容を把握している。今回の決定は支援事業で協会と改めて計画を練るよりも、アドバイザーの助言を受けながら個別に委託協議を進めるよう促した格好だ。

 山田市長は19日に病院の伊藤貞嘉院長代行と一緒に総務省を訪ね、アドバイザー派遣を要請するとともに今後の方針を協議する。組合をつくる蔵王、七ケ宿の2町、市議会への説明の場も設ける意向という。

 協会は自治医科大の卒業生らが設立し、県内で公立黒川病院(大和町)などを管理受託する。山田市長は「協会との話し合いはこれから」としつつ、「受託者として大きな実績がある」と期待を寄せた。

「2町」と「市議会」がハードルに

 公立刈田総合病院の公設民営化に向け、国のアドバイザー派遣事業の活用が認められた。運営組合にとって「国に認めてもらえたのは心強い」(山田裕一白石市長)が、組合を構成する蔵王、七ケ宿の両町長や市議会との協議などクリアすべきハードルは依然多い。

 「市長からは何も聞いていない」。蔵王町の村上英人、七ケ宿の小関幸一の両町長は18日夕の取材にこう口をそろえた。

 1市2町は昨年10月、2023年3月末で組合を解散し、4月から公設民営の市立病院にすると合意したが、解散協議は昨年12月以降ストップしたままになっている。市長と両町長との距離感が民営化を巡る複雑な状況を表している。

 山田市長は今月22日の正副管理者会議で2町に現状を説明するとみられる。小関町長は「仮に方向転換をするのであれば白紙にして話し合う必要がある。公設公営の原点に戻って本年度中に課題を洗い出し、その上で結論を出せばいい」。村上町長は「今はまず話を聞くだけだ」と語る。

 1市2町との合意とは別に、市議会には組合を存続させた上で公設民営化を探る動きがある。病院組合議会の議員9人中7人は市議が占め、市議会の決定が病院の将来を左右する。

 市議会は今月8日の全員協議会で組合が国の支援事業を推進することに賛同したが、民営化の受け止めには温度差がある。市議の一人は「市長には総務省と協会にしっかりお願いしてほしい。それ以外の選択肢はないんだ」と強調する。

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