発掘!古代いしのまき 考古学で読み解く牡鹿地方>考古学ってどんな学問?

古墳の発掘調査の様子
出土した土器を計測、製図している様子

【東北学院大博物館学芸員 佐藤敏幸氏】

<生活や文化、遺物から復元>

 この連載のタイトルにもある「考古学」って何でしょう。聞いたことはあるけど、あまりなじみのない方も多いと思います。

■学生が持つイメージ

 学生に「考古学からイメージするのは?」というアンケートを取ると「暗い」「地味」といった漠然としたイメージから「恐竜の化石」「発掘」「古いことを調べる」といった答えが返ってきます。「恐竜の化石」は間違いですが「発掘」や「古いことを調べる」は大体当たっています。「知ってる考古学者は?」という設問には、ひと昔前なら吉村作治さん(エジプト考古学者)の名前が挙がっていましたが、今はなかなか実在の人物は出てきません。

 「マンガ、アニメ、映画、小説に登場する架空の人物でも可」とするとジブリ映画の「となりのトトロのさつきとメイのお父さん(クサカベタツオ)」、マンガ「ONE PIECE(ワンピース)」の「ニコ・ロビン」、アニメ「カードチャプターサクラ」、ひと昔前だと映画インディ・ジョーンズの「ジョーンズ博士(親子)」が並びます。アメリカ映画に描かれる考古学者は財宝目当ての人物が多いので、考古学者というよりはトレジャーハンターに見えます。

 さて、本題の考古学とはどんな学問でしょうか? 歴史を探究する学問には古文書などの文字を研究材料とする「文献史学」、過去の人々の遺(のこ)した遺跡や遺物を研究材料とする「考古学」、過去の人々の風俗・伝承を研究材料とする「民俗学」、過去のヒトそのもの(人骨)やヒトの発展過程を研究する「人類学」などがあります。「考古学」は日本では歴史学の一分野に位置付けられています。

 具体的には「過去の人が遺したモノや痕跡から当時の生活や技術、文化を復元して、未来の人の豊かさにつなげる」というのが考古学の定義です。この定義に従うと、先に記した「恐竜の化石」は人類が誕生する前の恐竜を調べるのですから、間違いということが分かるでしょう。考古学が取り扱う範囲は1分1秒前が過去ですから時間的には人類が生まれてから現在まで空間的には人類が活動している地球全体ということになります(将来的には宇宙も入るかもしれません)。

■時間と根気が必要

 考古学のイメージで最も多いのが「遺跡の発掘調査」です。もちろん、過去の人々が遺した遺跡を調査して生活や文化を復元するのですから、発掘調査は重要な調査方法の一つです。しかし、発掘調査だけではなく、出土品や伝世品の写真を撮ったり実測図を描いたり、全国の類似品を集めて比較し、どの時代のどの地域のどんな階層の人が何に使ったのかを研究したりします。さらに放射性炭素などの年代測定や鉄製品の成分分析、人骨の形やDNAも調べたりします。確かに時間と根気のいる暗い仕事に見えるかもしれません。

 日本ではいつ頃から考古学が広まったのでしょうか? 江戸時代、ひと昔前の時代劇で有名な水戸黄門の主人公、徳川光圀は栃木県にある古墳を発掘して日本三古碑の一つ「那須国造碑」に記載された人物のお墓であるのかを調べた記録が残っています。近代考古学の始まりは明治時代のE・S・モースの大森貝塚発掘調査からです。

■石巻出身の学者

 石巻出身の考古学者もたくさんいます。奈良県橿原考古学研究所に勤務した古墳時代研究者の石野博信さん、実験考古学の第一人者の楠本政助さん、石巻地域の古代遺跡研究に先鞭(せんべん)をつけ現在は板碑研究の第一人者の三宅宗議さん、縄文時代を中心に研究し弘前大で教授を務めた藤沼邦彦さん、県教委文化財課や多賀城跡調査研究所に勤務した丹羽茂さん、石巻地域の縄文時代や板碑を研究した中村光一さん、高校教諭の傍ら考古学研究を行った茂木好光さん、奈良県橿原考古学研究所から文化庁に移動し現在主任調査官を務める近江俊英さんなどです。

 末席に古代城柵研究者の佐藤敏幸も加えていただければと思います。

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