パ・リーグの「投高打低」なぜ? 野球解説者、データ専門家に聞いた

好投を続ける東北楽天の岸=4月20日
(4月21日現在)

 プロ野球のパ・リーグで「投高打低」が顕著になっている。投手陣が好成績を上げ、打撃陣が苦戦する傾向はセ・リーグでは見られない。たまたまか、それとも何か異変が起きているのか。東北楽天OBやデータ分析の専門家らに見解を聞いた。(編集局コンテンツセンター・佐藤理史)

昨季は0点台ゼロ

 パ・リーグの投手成績を見てほしい。先発陣は主に3~5試合に登板し、防御率0点台は4人いる。ロメロ(ロッテ)の0・45を筆頭に、山本(オリックス)千賀(ソフトバンク)石川(ロッテ)と各球団の主戦級が並ぶ。完全試合達成で話題を集める佐々木朗(ロッテ、岩手・大船渡高出)や岸(東北楽天)ら4人が1点台で続く。

 昨季は4月末時点で0点台はおらず、1点台は山本と涌井(東北楽天)の2人。全日程終了時は、最優秀防御率などタイトルを総なめにした山本がただ一人の1点台(1・39)で、2点台は3人だった。

防御率・打率の個人成績上位(4月21日現在)

打率3割以上、わずか4人

 一方、打撃成績は打率3割以上が4人にとどまる。2割に満たない打者は9人もいる。近藤(日本ハム)や島内(東北楽天)ら昨季と変わらない活躍を見せる選手はいるものの、総じて振るわない。

 主軸級の低迷が目立つ。昨季の首位打者吉田正(オリックス)は2割4分6厘、グラシアル(ソフトバンク)は2割1分9厘と本領を発揮できていない。マーティン(ロッテ)は1割3分8厘、杉本(オリックス)は1割と不振に陥る。柳田(ソフトバンク)森(西武)はけがで離脱している。

 昨季終了時と比較すると、大きな傾向が見てとれる。

[パ・リーグ]
■打率
2割4分1厘→2割1分5厘
■OPS(出塁率+長打率)
.683→.597
■得点(1試合平均)
3・7点→3・1点
■本塁打(9イニング当たり)
0・8本→0・5本
■防御率
3・48→2・75
■四球(9イニング当たり)
3・3個→3・0個

セ・リーグは変化なし

 試合で使う統一球に変更があれば、セ・リーグにも影響は及ぶはずだが、そうした変化は見られない。

[セ・リーグ]
■打率
2割5分1厘→2割4分6厘
■OPS
.698→.675
■得点
3・8点→3・7点
■本塁打
0・9本→0・8本
■防御率
3・60→3・41
■四球
3・0個→2・8個

ゾーン変更?投手の実力?

 東北楽天の元投手で解説者の山村宏樹さん(45)は困惑気味だ。「気になって注意深く見ているが、投球自体は昨季とそんなに変わらない印象だ。四球が減っているので、ストライクゾーンがボール半個分ほど広がっているのだろうか」と首をかしげる。

 東北楽天の元外野手で、昨季まで1軍打撃コーチを務めた鉄平さん(39)は「率直に思うのは、投手の能力が高い。元々力のある選手が多く、それぞれがいい状態にある」と話す。その上で「長いシーズンで、調子の変動は必ずある。チーム打率が2割そこそこで終わることはなく、打撃陣が反撃するタイミングは来るはずだ」と見通す。

 江戸川大学社会学部の鳥越規央客員教授(スポーツ統計学)は「開幕から短期間のデータなので、極端な数字が出やすくなっている」と話す。パ・リーグを代表する打者の成績が上がらずリーグ全体の打率、OPSが低下した可能性を示唆する。

 パ・リーグに山本、宮城(オリックス)佐々木朗、早川(東北楽天)ら25歳以下の主戦級投手がいるのに対し、セ・リーグには村上(ヤクルト)佐藤輝(阪神)牧(DeNA)ら25歳以下の主砲がいる。

 鳥越教授は「強打のソフトバンク、西武に対抗するため、各チームが投手力を重点的に補強した結果、リーグ全体の投手力が強化されていき、相対的に打者の補強はおろそかになった」と近年の傾向を指摘する。

 東北楽天の石井一久ゼネラルマネジャー(GM)兼監督(48)はあまり気にしていない様子だ。19日の試合前には「この時期は大体そうだと思う。夏場に向けて反対になってくる状況になる」と語り、投手優位とされる春先の傾向がやや顕著になっていると受け止める。
(記録は全て4月21日現在、規定投球回・打席以上)

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