石巻地方・新任校長に聞く 矢本東小、住吉中
今春、新たに石巻地方の小中学校に着任した校長に抱負や学校づくり、教育観などを聞いた。
東松島市矢本東小 相沢進さん(57)
<震災伝承、命守る心育む>
矢本東小は24年ぶり2度目の勤務。児童は466人。「魅力あふれる夢と感動のある学校を目指していきたい」と語り、教師に対しては「一人一人に活躍の場を用意し、適切な役割を与え、具体的に認める意識で子どもに接してほしい」と期待する。
東松島市が掲げる「魅力ある学校づくり」では、(1)学力保障(確かな学力の育成・向上)(2)成長保障(豊かでたくましい心と体の育成)-を重点に据える。
「矢本東小では、学力保障と成長保障の土台として、あいさつ(徳)、読書(知)、外遊び(体)の3本柱を推進していきたい」と強調する。
「スマートフォンのゲームの時間を1時間程度に減らし、浮いた時間を体験を含む外遊び、読書に充ててほしい」とも。
3本柱を支えるキーワードとして「地域との連携」と「防災教育」を挙げる。「コミュニティ・スクール(CS)の取り組みも進め、地域と共に育つ学校をつくっていく」と言う。
東日本大震災で被災した石巻市門脇小の教務主任を経験。市鹿又小校長の時は、教員同士で震災時の経験を伝え合う継承会を開くなど、防災教育に精通する。「震災の風化を防ぎたい。子どもには自分の命は自分で守る意識を高めたい」
石巻市住吉中 杉山孝一さん(58)
<地域での体験を大切に>
住吉中は本年度、学校運営に地域住民らが参画する「コミュニティ・スクール」(CS)を導入する。「地域の人たちと共に学校づくりを進め、夢に向かってたくましく生きる住中生を育成したい」と意気込む。
同校は25年ぶり2度目の勤務。「教え子が生徒の保護者になっていた。校長室に遊びに来てほしい」と笑顔で話す。
多感で成長が著しい中学校の3年間は「社会に対して主体的に関わるための基礎を培う時期。高校を含めて社会に出てもしっかり生きていけるよう、心も体も強くなってほしい」と語り、夢や目標を持って努力を続けることを説く。
33年の教員生活のうち県松島自然の家や県教委生涯学習課で社会教育主事を務めるなど社会教育行政を11年経験。「地域との関わりの中で子どもが育つ」と感じており、多くの人たちが学校と関わってくれることを期待する。
体験学習の重要性を強く認識。1年生66人が13日、人間関係づくりや互いに協力し合うことの意義を学ぶため、松島自然の家で体験学習活動に取り組んだ。
「子どもの成長を見られたり、中総体や卒業式で感動を共有したりできるのが教師の醍醐味(だいごみ)」。好きな言葉は「笑顔で行ってきます。笑顔でただいま」。