石巻かほく杯中学校野球 河南東が初優勝、ノーシードから頂点に
第36回石巻かほく杯中学校野球大会(三陸河北新報社、河北新報社主催)の決勝が29日、石巻市桃生球場であり、河南東が桃生を3-0で下し初優勝した。河南東は主戦木村拓央投手が大会を通じて好投。野手陣も堅い守備で支え、ノーシードから出場13チームの頂点に立った。桃生は5度目の優勝を目指したが及ばなかった。
最優秀選手には河南東の木村投手、優秀選手には河南東の加藤直也捕手、桃生の渥美太誠遊撃手がそれぞれ選ばれた。
新型コロナウイルスの影響で3年ぶりの開催だった石巻かほく杯中学校野球大会。3年生にとっては最初で最後の大会となり、保護者の応援にも熱が入った。
優勝した河南東の加藤直也選手の母里果さん(42)は「野球をする姿を見られる機会が増えたのはうれしい」と喜んだ。桃生の高橋諒多選手の母千愛さん(46)は「コロナ禍で対外試合が少なくなっているので、開催できてよかった」と歓迎。「中総体の前哨戦として大事な試合だと聞いていた。気持ちを切り替えてくれれば」と次の大会に期待した。
◇決勝
桃 生 0000000-0
河南東 000012×-3
(桃)佐藤-武山(河)木村拓-加藤
【評】河南東が終盤の好機を生かして競り勝った。五回、代打の佐々木陽が中前打で出塁。2死二塁から1番木村拓の中前適時打で先制した。六回は1死一、二塁から佐々木陽の左前適時打と内野ゴロで2点を追加した。主戦木村拓は無四球、8奪三振で完封した。
桃生は主戦佐藤が無四球で完投。打線は安打と盗塁で二、四、五、七回にそれぞれ得点圏に走者を送ったが、後続を断たれた。
■河南東・菊田望監督
昨秋の新人戦で初戦負けだったチームが一冬で大きく成長した。選手たちが素振りの回数を競い合うなど、うまくなるために必要なことを考え、自主的に取り組んでくれたことがうれしい。大会を通して思い切りの良さが攻守で出ていた。
■桃生・新沼拓実監督
相手のいい投手をどう打ち崩すかが課題だった。得点はできなかったが、練習の成果は見せてくれた。先制された後も気持ちを切らさず、丁寧な動きを心掛けることが必要。配球など今大会の反省点を見直し、中総体につなげたい。
<最優秀選手>
■木村拓央投手(河南東3年)
1回戦を除く計3試合に登板。2回戦では昨秋の新人戦を制した石巻を相手に無安打無得点試合を達成した。大会を通しても失点はわずか2で、安定感のある投球を見せた。
「決勝は普段通りバックを信じて投げた」と言うように、得点圏に4度走者を背負うも、持ち味の速球とカーブで桃生を無四球完封した。打者としてもリードオフマンを務めて先制の適時打を放つなど、投打で優勝の原動力になった。
冬場に学校周辺を走り込んだことで下半身が安定。スピンの効いた球を最後まで投げ込めるようになったことが飛躍につながった。
受賞に対し「冬の取り組みが間違っていなかったと証明できた。素直にうれしい」とほほ笑んだ。
<優秀選手>
■加藤直也選手(河南東3年)
「ピンチを切り抜けるごとにチームが一つになれた。粘り強く戦えた点が良かった」と振り返る。主将、捕手という重要な役割を務め上げ、初優勝に貢献した。
決勝に向けて自分たちの試合映像を見直したり、相手投手を研究したりした。「どんな場面でも冷静なリードができた」と話す。中総体に向けての課題は打撃を挙げる。「内角のさばき方を練習し、次も勝つ」と意気込んだ。
■渥美太誠選手(桃生3年)
3試合全てで安打を放ち、遊撃手として堅実な守備も光った。「優勝できなかったのはやはり悔しい。守備の連携をもう一度見直していく」と話した。
練習では速い直球や変化球にも対応できる打撃を目指してきた。主将として「一人一人のレベルが高く、楽しく練習に取り組めている」とチームを分析する。中総体に向けては「優勝を目指して頑張りたい」と抱負を語った。