参院選福島 増子氏、急転直下の退却劇 各地の「増子党」活力失われ

参院選への立候補断念を表明する増子氏=6日午後4時ごろ、福島市

 40年近い政治家人生は不戦敗での幕切れとなった。夏の参院選福島選挙区(改選数1)で、無所属で立候補する意向だった現職の増子輝彦氏(74)が6日、今期限りでの引退を表明した。個人後援会を主軸に選挙戦に臨むはずだったが、行き詰まりは否めず、立候補の正式表明から1カ月で急転直下の退却劇となった。

「『明鏡止水』の心境」

 「今は『明鏡止水』の心境。議員でなくても社会の役に立てる活動はできる」。記者会見で増子氏は「世代交代」を立候補見送りの主な理由に挙げ、淡々と「政界引退」を宣言した。

 増子氏は2020年に旧国民民主党を離脱、野党勢力と決別。その後は参院自民党会派で活動していた。1カ月前の記者会見で「選択に間違いはない。有権者の判断を仰ぐ」と4選に自信を見せたばかりだった。

 ただ、勝算の乏しさは否めなかった。本人が「増子党」と呼んで頼りにした県内各地の地域後援会の多くは、与野党双方の新人候補と相対できるほどの活力を失っていた。

 かつて増子氏を支援した県南部の地域後援会の元選対幹部は「都市部はともかく、郡部の組織は数年前から自然消滅に近い状態だった」と明かす。19年参院選での野党統一候補の惨敗と後援会メンバーの高齢化も相まり、増子氏の地域での存在感は一気に低下していったという。

 ある自民県議は「増子氏は『どうやっても勝てない』と思って敵前逃亡を図ったのだろう」と推し量る。身を引く形で4月15日に退会した参院自民会派も「実質的には『除名』」だったといい、仮に無所属で4選したとしても国会での活動は八方ふさがりだった。

 現職の唐突な退場で、構図は与野党の新人候補の一騎打ちに。自民県連は新人の県医師会副会長星北斗氏(58)、野党陣営は立憲民主党などが推す無所属新人のフリーアナウンサー小野寺彰子氏(43)を立てる。

 「三つどもえ」を想定していた双方の陣営は戦略の修正を迫られそうだ。行き場を失った「増子票」の多くを取り込めるとみる立民幹部は「増子氏は野党勢力を捨てた『裏切り者』だが、今回は立派な判断だった」と皮肉交じりに語った。

「最大の理由は年齢」 一問一答

 夏の参院選福島選挙区(改選数1)への立候補取りやめを表明した現職増子輝彦氏(74)の記者会見での一問一答は次の通り。

 -立候補断念の理由は。

 「最大の理由は年齢。自分の名前を知らない若い世代に74歳の候補者がどう見えるのか、引っ掛かっていた。仮に4選すると任期満了時は80歳になっている」

 -1カ月前に立候補を正式に表明したばかりだ。

 「立候補を正式表明した段階では、精神的にも肉体的にも問題はないと考えていたが、その後さまざまな仲間と意見交換をする中で、肌感覚で『微妙だ』と感じた。2日前に自分で立候補しないと決断した」

 -1カ月前の会見では野党勢力から離れ参院自民会派に入った経緯を含め県民の審判を仰ぐと言った。

 「それも熟慮した結果、今回は立候補しないという決断をした。別に何も問題はないと思う。出処進退は最終的に自分で決める。世代交代を進めるためにはここで退くべきだと考えた」

 -参院選にはどう関わるか。

 「距離を置く。特定の候補者の支援などは考えていない。今後はシンクタンクで政策提言などを続けていくつもりで、その中で人材育成に取り組んでいきたい」

河北新報のメルマガ登録はこちら

企画特集

先頭に戻る