仙台市待機児童、初のゼロ 保育施設新設など成果

 仙台市は10日、保育施設の待機児童が4月1日時点でゼロになったと発表した。政令市に移行した1989年以降で待機児童が解消されたのは初めて。保育施設の新設で定員枠を拡充したほか、保育メニューを増やして保護者ニーズに対応した。

 仙台市の認可保育所などの待機児童は、2008年4月1日時点で740人となり全国の自治体で最悪となった。

 一方、入所希望者数はグラフのように漸増を続け、22年には2万2112人となった。

 仙台市は21年度、0~2歳児を少人数で保育する小規模保育事業所を11カ所整備して、2万2244人の入所定員を確保。さらに、保育士の確保や保育ニーズの高い1歳児の受け入れ枠の拡大のための費用を一部助成した。

 2次募集までに保育所に入れなかった保護者に、各区の相談員が個別に対応する既存のサポートにも力を入れた。その結果、21年度当初に44人だった待機児童が解消された。

 郡市長は定例記者会見で、「市長就任以来、待機児童の解消に向けてソフト、ハードの整備を進めてきた。保育事業者にも感謝したい」と語った。

 待機児童はゼロになったが、希望する保育所に入れないケースなど「隠れ待機児童」は依然428人を数える。郡市長は「一人でも多くの子どもが希望する保育施設に入れるよう、既存施設の有効活用や相談員のきめ細かな対応に引き続き取り組む」と強調した。

「隠れ待機」対策継続を

 【解説】仙台市の待機児童が1989年の政令市移行後、初めて解消した。全国の自治体で最多となったのは、梅原克彦市長時代の2008年だった。それから14年、保育施設の整備や保育メニューの充実を進めてきた成果と言える。ただ、希望した施設に入れない場合など「隠れ待機児童」と呼ばれるケースは依然多い。

 国の定義に照らせば、市の待機児童はゼロ。その肝心の定義は15年度以降、複数回変更され、実態との乖離(かいり)が懸念されている。

 保護者が求職活動を休止したり、育児休業からの復職が確認できなかったりする場合は待機児童と見なされない。市が入所可能な施設を紹介しても希望する施設が空くのを待つ場合なども対象外となる。

 市幹部は「国の定義に当てはまらないケースを含めて、全てゼロにするのは難しい」と打ち明ける。

 「待機児童ワースト」のレッテルを払拭するため、市はこの14年で、認可保育所や小規模保育事業所などの施設を3・6倍の421カ所に拡大した。1歳児の受け入れ枠拡充、入所の希望がかなわない場合の再調整などにも力を入れた。

 地道な取り組みの積み重ねは一定の成果をもたらしたが、定義の対象外とされた児童への対応は道半ばだ。今回の待機児童解消は一つの区切りに過ぎない。希望に沿った受け入れ態勢をいかに確保していくか。子育て施策を重要視する郡和子市長の本気度が問われている。(報道部・布施谷吉一)

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