文明論的に見ると時代はどこに向かうのか。多様性の時代に企業や職場はどうあるべきか。「とうほく経済」に求められる視座を週1回、4人の識者・経済人に輪番で発信してもらう。
まず読者の皆さんに質問です。地方移住への関心が高まっているとされる昨今、地方への移住者は全国で何人ぐらいいると思いますか?
答えは「正確な実態は分からない」です。各都道府県の転出・転入数は国が把握しており、新型コロナウイルス感染拡大の影響で東京23区が2021年、初めて転出超過に転じたことが話題になりましたが、転出入はそのまま移住とは言えません。
移住は「ライフスタイルを変える目的を持った転居」という定義もあり、転出入とイコールではないのです。ちなみに21年の宮城県は241人の転出超過。東北6県はいずれも転出超過でした。
私が暮らす島根県では、実態をより正確に把握しようと、転入者のうち「5年以上島根で暮らす」と答えた人を移住者としてカウントしています。
そのデータによると、最も多かった16年度が4376人、最少の20年度が3618人。年によって変動はあるものの、4000人前後が毎年移住してきています。20年度は首都圏からのIターン者が過去最高の284人となりました。
内訳は出身者が戻るUターンが6割、出身ではない土地に移住するIターンが4割。最も多い年代は、20代と30代で、この二つの年代で全体のほぼ半数を占めました。そして、転勤や就職、転職・転業といった仕事を理由とした移住が多くを占めています。
お隣の鳥取県も同様に移住者を数えており、毎年2000人前後。Uターンがやや多く、30代以下が7割近くを占めます。理由は40代以下で、やはり「就職」がトップになっています。移住者の実態をこうして調べているのは、全国でこの2県のみのようです。
講演会でこの話を紹介すると、会場にどよめきが起こります。移住者は100人くらいと予想していた人が多く、驚きを持って受け止められるのです。そして、続けてこう口にします。「若者は仕事がないから帰ってこないと思っていた」
実際このイメージは根強いと言えます。20年度の島根県政世論調査では、小学生以上の子どもを持つ親の59・8%が、子どもに地元定住やUターンを勧めようと考えておらず、県内に仕事がないとの理由が最多の36・6%に上っています。
しかし、繰り返しになりますが、データを見ると若い世代は仕事を理由にUターンやIターンをしてきています。「若者は仕事がないから帰ってこない」という一種の「常識」を疑う-。ここが出発点なのではないでしょうか。
このコラムでは、時代の最前線で面白くなっているローカルの新潮流をお伝えしていきます。
(ローカルジャーナリスト=島根県浜田市在住)
たなか・てるみさん 島根県浜田市生まれ。大阪大文学部卒。1999年、山陰中央新報社(松江市)入社。2013年、琉球新報社との合同企画「環(めぐ)りの海」で新聞協会賞受賞。14年退社し、島根に暮らしながらローカルジャーナリストとして独立。主な著書に『関係人口の社会学』、編著書に『みんなでつくる中国山地』など。21年から島根県立大地域政策学部准教授。
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