アサリ育つ干潟取り戻す 南三陸、震災復旧で使った砕石除去へ

 宮城県南三陸町戸倉でかつて潮干狩りの名所としてにぎわった「折立干潟」の再生を目指し、地元漁協と町は18日、工事に向けた調査に着手した。東日本大震災で被災後に県が復旧工事を行ったが、砕石を投入するなどしたためアサリが十分育たなくなっていた。関係者は「漁場や教育の場としての価値を地域一丸で取り戻したい」と力を込める。

南三陸町戸倉の折立干潟。地元漁協や町が再生を目指し調査を始めた=18日午前9時30分ごろ

 県漁協戸倉出張所女性部や町ネイチャーセンター、県などの約20人が、約2ヘクタールの干潟の15カ所を10センチほど掘って土壌を採取。それぞれ二枚貝の数や大きさを調べた。19日も5カ所を調査し、どのように砕石を取り除くか決めていく。

 国の水産多面的機能発揮対策事業を活用し、2025年度までの4カ年計画で再生を図る。予算は計500万円ほどで大規模な工事はできない。漁協戸倉女性部部長の後藤恵子さん(51)は「元の姿に戻すのは難しくとも、またアサリが育つ環境に少しでも近づけたい」と期待する。

 折立干潟は00年ごろ、湾の一部をコンクリートの潜堤で囲んで県が整備し、町が稚貝をまいた。5、6月の入漁日には1日200人が3~5センチのアサリの潮干狩りを楽しんだという。

 震災の津波で潜堤ごと流失し、県が15年から2年半かけて復旧工事を実施。センターによると、高さを戻すのに砕石を多く投入したため土壌が固くなってしまった。50種ほど確認されていた生物が30種前後に減り、アサリも2センチ弱までしか育たなくなった。

 漁協と町は復旧直後に現地を確認したが工事の詳細は分からず、19年ごろ町の周辺工事で現状が発覚した。県は「手続き上問題なく工事が完了した」との立場だが、干潟調査を続けたセンターが漁協や町、県を含め協議を重ねてきた。

 県気仙沼地方振興事務所水産漁港部の斎藤憲次郎技術主任主査(46)は「復旧したとの説明を地元が納得できないのは分かる。技術面でできる限り側面支援したい」と話す。事業は国の7割助成で町が3割負担するが、県も一部負担や助成を検討しているという。

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