福島・飯舘唯一の常勤医、本田さん着任2ヵ月 寄り添う医療で安心届ける

いいたてクリニックで村唯一の常勤医として勤務する本田さん

 東京電力福島第1原発事故で一時、全村避難となった福島県飯舘村の「いいたてクリニック」に、医師の本田徹さん(75)が着任して2カ月が過ぎた。「安心して受けられる医療サービスを提供し、住民帰還を少しでも進めたい」。村に住む唯一の医者として、復興を医療面で支えている。

「住民帰還進めたい」

 クリニックは公設民営で、2016年に再開。今年4月に本田さんが着任するまでは、2人の医師が交代で福島市から通っていた。

 本田さんは着任後、訪問診療をクリニックとして初めて取り入れた。火、木曜の午前だけだった外来診療も火曜午後にも行うようにした。帰還した村民のほとんどが高齢者で、糖尿病や高血圧など慢性疾患の患者が大半。多いときで1日約40人の患者を診る。

 愛知県出身。青年海外協力隊員としてアフリカで医療活動に携わった経験がある。途上国の保健衛生環境向上を目指すNGOや路上生活者らの支援にも関わってきた。阪神大震災や熊本地震の被災地でも活動した。

 12年から約7年間、いわき市の福島労災病院に週1回勤務。避難生活で持病が悪化したり心を病んだりした被災者や、不規則な食生活で生活習慣病に陥る原発作業員を目の当たりにした。昨年9月、村の訪問看護ステーションに勤務する知人の紹介で初めて村を訪れ、移住を即決した。

 肺の難病を患ったが、本田さんの診断で自宅療養が可能になり、住み慣れた村の自宅で最期を迎えた90代の女性がいた。「家に帰りたいという母の願いをかなえられた」。女性の家族から感謝され、「余生は自宅で過ごしたい」と願う村人の一助になりたいとの思いを強くした。

 本田さんは「福島の原子力災害は現在進行形。被災地に人がなかなか戻ってこないといった課題が山積している。難しさは感じるが誰一人取り残さない医療を実現したい」と話す。

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