最大級津波の新浸水想定 石巻市が説明会 住民「逃げ場ない」
石巻市は11日、県が5月に公表した新たな津波浸水想定の住民説明会を始めた。東日本大震災より浸水面積が拡大する予測になった想定結果を示し、避難計画の見直しを進める市の方針を説明した。住民からは避難態勢への不安や震災から11年がたっての公表に対して批判の声が上がった。
湊小では湊、渡波、牡鹿地区を対象に開催した。県河川課の担当者が新想定の内容を紹介。数百年に1度の津波が最悪の条件下で発生した場合の予測だと強調し「不安を感じるかもしれないが、人命を守るための想定だ」と理解を求めた。
市の担当者は想定を踏まえた避難場所の検討、確認を急いでいると説明。年度内に地域防災計画と津波避難計画を見直し、来年度には津波ハザードマップを作成する方針を示した。
渡波地区は被災者が移り住んだ新市街地を含む地区のほぼ全体が3メートル以上浸水する予測になった。質疑応答で参加者からは「内陸への避難道路も渋滞する。逃げる場所がない」「なぜ今頃なのか。復興事業に反映させれば命だけでなく財産も守れたはずだ」といった批判が相次いだ。
出席した斎藤正美市長は「身近に避難できる場所が必要だ」と強調。渡波支所、公民館の移転も含めた避難場所整備の可能性を指摘し「国にしっかりと伝え、住民が納得いく形で進める」と語った。
11日は河北、北上、雄勝地区を対象に河北総合支所で開催。12日は県石巻合同庁舎で釜、大街道、山下、住吉、門脇町地区対象に午前10時から、蛇田地区対象に午後2時から開く。