旧浜市小で水耕栽培 東松島ファーム、工程無人化工場を新設
東日本大震災で被災した東松島市の旧浜市小で葉物野菜を水耕栽培する「東松島ファーム」は、栽培工程を無人化した工場を旧体育館内に新設した。新工場の稼働により生産規模の拡大を図り、国内外へ技術を発信するショールームとしての活用も見込む。
床面積450平方メートルに高さ6メートル、8段の栽培棚を設け、発光ダイオード(LED)を光源にレタスやベビーリーフといった葉物野菜を水耕栽培する。年間生産量は、これまでの約10トンから15倍となる約150トンを目指す。
種を植えて苗を育てる作業と収穫は旧校舎の専用室で手作業で行い、苗を植えた容器を体育館とつながるベルトコンベヤーで運ぶ。自動搬送システムを導入したことで、栽培工程とメンテナンス作業が大幅に省人化できるという。
屋内での水耕栽培は異物混入や雑菌の付着のリスクが小さく、天候に左右されず通年で計画的に栽培することで商品を安定供給できる。今後、現在9種類の品種と取扱店を増やす考え。総事業費は約4億5000万円で、3分の1は国の補助金を活用した。
11日に現地で竣工(しゅんこう)式があり、関係者約40人が出席。神事に続き、阿部基教(もとのり)社長(33)が「植物工場から事業の魅力や野菜のおいしさを発信し、継続的な研究開発の成果を広めることが事業や地域の発展につながると思う。安心安全でいろんな種類の野菜を届けたい」と話した。
東松島ファームは2016年4月に設立。18年末に校舎の一部を使って栽培を始め、今年3月に新工場が稼働した。