河北抄(6/18):「仙台の子供等は仙台弁で歌ふのが本当だ、…

 「仙台の子供等は仙台弁で歌ふのが本当だ、東京弁で歌ふことを強いる理由などはどこにもないと思ふ」

 地方に生きる気概に満ちた、こんな文章が書かれたのは101年前。仙台で生まれた日本で最初の童謡専門誌『おてんとさん』の創刊号にある。創作童謡や評論、子どもの投稿詩を載せた雑誌は、1年余りで途絶えたが、その精神は世代を超えて長く引き継がれた。

 大正末期から昭和初期にかけて、各地で「児童文化」が豊かに花開いた。『おてんとさん』の歴史に詳しい仙台市出身の加藤理・文教大教授は「中央の焼き直しではなく、仙台で独自に育まれた活動です」と意義を説く。

 一方「新たな格差も顕在化しました」とも。この時代の子どもたちが等しくそうした文化の陽光を浴びたわけではない。大凶作に襲われた農村では、小学校も満足に通えない。受けられる教育の質と量は、家庭の経済状態に左右された。

 翻って現代。郷土固有の宝である方言は大切にされているだろうか。暗い闇に取り残された子どもはいないだろうか。

関連タグ

河北新報のメルマガ登録はこちら

企画特集

先頭に戻る