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石巻市博物館「平山郁夫」展 関連イベントに多くの来場者

写真と石こうを組み合わせた作品を制作したツルタさん(右)
平山さんのスケッチの極意などが語られたトークセッション

 石巻市開成の市複合文化施設(マルホンまきあーとテラス)内にある市博物館で開催中の企画展「平山郁夫が描いた『奥の細道』-松尾芭蕉がみた石巻-」の関連企画が9~11日、現地で開催された。公開制作や関係者によるトークセッションがあり、多くの来場者がさまざまな視点から平山郁夫の世界に浸った。

3日間にわたり公開制作

 公開制作は武蔵野美大(東京)4年生で、アーティストとしても活動するツルタシュリさん(25)=千葉県松戸市出身=が担当。自身が「奥の細道」や石巻地方をたどって撮影した写真のプリントに石こうを流して転写する作品約20点を3日間にわたって制作した。

 タイトルはフランス語で転写を意味する「デカルコ」と記憶の「メモニー」を合わせた造語「デカルコメモニー」。昨年夏ごろ、岩沼市の竹駒神社や女川町の女川魚市場などをカメラで撮影し、インクジェット紙に石こうを流すことで大小さまざまな大きさの半立体作品に仕上げた。

 ツルタさんは市博物館の入り口付近で来場者の質問に答えながら制作。「写真は断片的な見え方で終わってしまうが、転写することで訪れた時に感じたものがよみがえったりする。見る人によって感じ方が変わるのが面白い」と話した。

 制作した「デカルコメモニー」は市博物館前のアトリエで8月31日まで展示している。

絵の特徴など振り返るトークセッション

 トークセッションは11日に市複合文化施設小ホールであり、石巻の企画展を監修する武蔵野美術大の加藤幸治教授、平山郁夫シルクロード美術館(山梨県)学芸室長の大塚裕一さん、平山郁夫美術館(広島県)学芸員の幸野昌賢さんが登壇。平山さんの絵の特徴や晩年の活動を振り返った。

 大塚さんは2004年の美術館開館について「平山さん本人から画家としての最後は富士山の見える場所で活動したいと言われたことが山梨にできるきっかけだった」と説明。展示室の設計にも携わり「シルクロード画家として専用の展示部屋を設けるほどこだわりは強かった」と話した。

 スケッチの手法を述べた加藤教授は「木々の枝が風になびく様子や水の流れを躍動感ある線で描き、その場でしか感じられないものが巧みに表現されている。会場にある素描と見比べて、完成するまでの流れを見てほしい」と語った。

 幸野さんは平山さんの持ち色について述べ、青が「平山ブルー」と呼ばれていることを説明し「宝石としても使われるラピスラズリやアズライトといった天然の岩石を砕いて作られた岩絵の具によって神秘的な青を表現していた」と話した。

 企画展は26日まで。開館は午前9時~午後5時(最終入館は午後4時半)。休館日は毎週月曜(当日が祝日の場合は翌日)。観覧料は一般800円、高校生500円、小中学生300円。

 連絡先は石巻市博物館0225(98)4831。

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