<まちかどエッセー・大槻泰介>老障介護-てんかんの場合-

 おおつき・たいすけさん 1952年さいたま市生まれ。79年東北大医学部卒。日本脳神経外科学会専門医。日本てんかん学会専門医指導医。国立精神・神経医療研究センターてんかんセンター長を経て、2016年よりてんかん病院ベーテル院長。著書に「てんかんが怖くならない本」。仙台市青葉区在住。

 高齢者の世帯で障害のある子どもの介護をすることを「老障介護」というらしい。少し前までは「老老介護」が問題であった。

 老障介護の場合、介護者である親は、かわいい子どものためならと自宅で長い間大変な介護を続けてきた経緯がある。長年一緒に生活してきた子どもを手放すのは精神的につらく、世話ができなくなるまで手元で子どもを見ていたい、という親は少なくない。

 しかし、親の健康状態など、さまざまな事情により急いで子どもを施設やグループホームに入れざるを得なくなることもある。その際、急に希望に合う所が見つかるとは限らない。施設によっては、数年待ちという話もしばしば耳にする。従って、ある程度年齢のいった方には、早めの準備をお勧めしている。

 先日のNHKニュースで、ある地域で施設不足が問題となっているという報道があった。宮城県の場合、以前はてんかん発作があると対応できないと言われ入所を断られるという話をよく聞いたものだが、最近は、それほど逼迫(ひっぱく)した状況にはないように思える。発作があっても、病院と施設で常時連携体制をとっていれば、十分に対応可能であることが理解されてきたのだろう。

 しかし、ここまで来るには、各方面の方々の大変なご尽力があったのだと思う。これまで、てんかんは行政上の枠組みにおいて精神の病気なのか神経の病気なのか「まま子扱い」されていた経緯があり、そのはざまで十分な医療や保健サービスが受けられない状況が続いていた。それでも近年障害者に関わる法律が整備され、それ以降は、てんかんについても十分に配慮すべきだという意識が共有されてきたようでうれしい。

 だが一方、てんかん患児の老障介護においては、昔、誰も手を差し伸べてくれなかったというトラウマ(心的外傷)を引きずって、いまだに周囲の助けを求めない方も少なくない。

 在宅のリハビリや訪問看護、ヘルパー派遣、通院補助、デイケア、ショートステイ、グループホームなど、最近の障害者に対する介護サービスは、高齢者のそれに劣ることはない。年齢を考えると将来はやはり不安である。ぜひそれらを活用されることをお勧めするとともに、対応される方々のご尽力もまた引き続き期待したい。
(てんかん病院ベーテル院長)

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まちかどエッセー

 仙台・宮城在住の執筆者が、それぞれの活動や暮らしで感じたことをつづります。


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