東電「役所以上に役所」東北電「奥ゆかしい」 規制委・更田委員長「語録」振り返る

 原子力規制委員会の更田豊志委員長は一貫して事業者側に厳しく接した。情報開示に消極的な東京電力の体質を「役所以上に役所」、女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の新規制基準適合性審査を地道に進めた東北電力を「奥ゆかしい」と表現するなど独特な言い回しが注目を集めた。定例記者会見や審査会合の「語録」をまとめた。

「東電スペシャル」

 更田氏の就任会見は2017年9月22日。安全性を追求し、厳正な審査を行う方針を示し「『これだけ対策すれば事故は起きない』と私が言ったら福島を忘れたと思っていただいていい」と決意を述べた。

 東電には特に厳しく、就任から日が浅かった小早川智明社長には「広瀬直己前社長は事故から逃げず、ひるまず、おとこ気を見せた」と奮起を促した。

 東電が経営再建の足掛かりとする柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の再稼働審査では、そもそも原発を運転する資格があるかどうかが焦点となった。

 更田氏は「審査するのは道義的適格性ではなく、技術的適格性だ」と強調。一方で「東電スペシャル」と称し、事故時に社長の刑事責任を問える体制づくりを求めるなど他電力と異なる対応を重ねた。

「アンビシャス」

 21年3月、柏崎刈羽の核物質防護不備で東電に事実上の運転禁止命令を出した際は「何か意図を持った妙なことが東電では起きがち」と吐露。約20年前、福島第1原発1号機の格納容器の気密性データを不正操作した案件に触れ「規制当局をだまそうとした例は他にない」と語気を強めた。

 度々感情的になりながらも、福島第1原発の処理水に関しては科学的見地に軸足を置いた。早くから海洋放出の妥当性を説き、「苦渋の決断でも前に進まないと多くの人がさいなまれることになる」と主張。放出後のモニタリング体制についても「心の問題が大きい。税金も使うし、やみくもに精度を高くすればいいというわけではない」と持論を展開した。

 この5年間には女川2号機が審査に合格した。東北電の印象を「ガツガツせず、西の大きな電力会社と比べて慎重だった。審査過程で困った部分が比較的少なかった」と語った。

 日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)は保安規定違反で審査を一時中断。二度と問題を起こさないとの弁明を「一種の安全神話」と批判し、22年度上期の完工目標を「アンビシャス(野心的)」と評した。

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