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いしのまき食探見>鹿肉 おいしさ伝え、特産化へ

鹿肉と相性抜群のカレーを挟み込んだ揚げパン
鹿肉カレーを食べる三浦さんと、鹿肉缶詰

 海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。

鹿 肉

 こんがり揚げたカレーパン。かぶりつくとスパイシーな香りと、中に入った肉の食感とが混ざり合い、口の中は幸せいっぱいの気分になる。

 日本有数の「道の駅」に成長した石巻市小船越の「上品の郷」で、今年から鹿肉とカレーを挟み込んだ揚げパンを開発・販売したのは相沢洋さん(57)。長年、調理畑を歩む経験から、最も抵抗感なく鹿肉を食べてもらえる形としてカレーパンを選んだ。

 鹿肉の提供は同じ地区内の丸信ワイルドミートだ。2021年に水産会社と共同開発した大和煮「伊達の黄金鹿」も販売している。代表の三浦信昭さん(80)は県猟友会河北支部長も務める。鹿肉は有害駆除されたニホンジカ。同支部だけでも毎年2000頭を駆除するが、食肉利用されるのは約200頭。残り9割は上品山で埋設処分される。これは持続可能な開発目標(SDGs)の観点から大きな問題だ。食材をむざむざ捨てているのだから。

 人は食べ慣れていないものへの心理的ハードルは高い。その上に「臭みがある」という誤解が輪を掛ける。「きちんと処理した鹿肉は臭みが全くない。塩こしょうだけの焼き肉が一番うまい」と三浦さん。こつは素早い血抜きと低温熟成だ。

 石巻地方でも鹿肉を使ったハンバーグやステーキなどを扱う飲食店が少しずつだが増えている。給食や試食会など、石巻地方に住む人が、そのおいしさを知る機会を多くしたい。遠野市でラム肉のジンギスカンが名物になったように、特産化へ。
(佐藤紀生)

<メモ>
 欧州、特にドイツでは最高級に位置付けられる鹿肉。野生のニホンジカの肉は脂肪分が少なく赤身主体。高タンパク、低カロリーな食材。食感は牛肉に似る。鉄分を多く含む。大型の草食獣なだけに個体数の管理が課題。畑の被害も年々増えている。

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