色彩模様いしのまき<黄>光まとい天地を染める 吉祥寺のイチョウ(石巻市高木)
色づいた葉が西日を浴びて輝く。参道から見上げると、2本の巨木が光をまとって見えた。
本堂に向かって右側のイチョウは高さ約20メートルで、市内一と言われる。樹齢は約350年とされ、石巻市教委が天然記念物に指定する。
集落の小高い場所に立ち、田園地帯が広がる景観の中でひときわ存在感を放つ。市内のイチョウに比べて色づきは遅い。樹冠近くや枝先からゆっくりと黄みを増していく姿が、雄大さを際立たせる。
落葉が本格化した11月下旬、境内や周囲の道路は黄一色に。ピーク時は掃いても瞬く間に地面を覆うという。「銀杏(いちょう)散る」は晩秋の季語。葉を落とした巨木は冬の気配をまとっていた。
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東日本大震災からの復興と共に、色彩を取り戻した石巻地方。自然や食、建築、工芸それぞれが持つ「色」を届ける。