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2022ニュース回顧 取材ノートから>児童生徒の学力向上へ 授業改善

グループで算数の適用問題を解く5年生。誰一人取り残さない助け合う授業が学習意欲を高めている=11月28日、鹿又小

<タブレット活用、有効策>

 児童生徒の学力向上が課題となる中、石巻市と東松島市の教育委員会や学校現場を取材する機会が多かった。

 石巻市教委は本年度、市学力向上推進委員会を設置。文章題の読み解く力を付けるため読書の推奨と、学力アップへ学校と連動した家庭学習を習慣化させるため、一人一人に貸与するタブレット端末専用のドリル学習(国語と算数・数学、英語)の活用を有効策として打ち出した。

 石巻小(児童282人)では読書活動を推進し、児童が読んだ本の感想や紹介文をタブレットを使って書く活動に全校で取り組んでいる。書く活動は思考力、表現力を育てる。授業でも全ての教科で充実させ、学力向上につなげている。

 学習指導要領は自ら思考し判断する力の育成を特に重視し、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を求めている。

 石巻市鹿又小(児童320人)では、算数の授業を大幅に改善した。授業後半に学習内容を定着させる「適用問題」の時間を20分間設け、子どもがペアやグループになって教科書や算数ドリル、タブレット専用のドリル問題を解く。教えたり、教えられたりして学びが深まり、「分からないから教えて」と気軽に言える、誰一人取り残さない助け合う授業を実践している。

 11月後半に5年生の授業を取材し、児童が生き生きと主体的に学ぶ姿に驚いた。「学び合うことは、自分以外の考え方を知り勉強になる。友達に教えることで理解が深まる」「分からない時に『助けて』と言うと、グループの人が教えてくれる。すごく分かりやすくて算数が好きになる。楽しい」。授業後の感想を聞いて納得した。

 児童が学び方を選択できるのが特長で、個人で集中したい人は1人で取り組む。教師は学び合いを見て回り、過度な説明や教え込みはしない。

 東松島市教委は「協同的な学び」を推進する。グループ活動の中で子どもが聞き合い、学び合う授業だ。矢本東小(児童465人)は、全学年で協同的な学びの授業を実践し成果を上げている。学びを深めるだけでなく、他者を認め尊重する姿勢も育む。学級の絆づくりにもつながっている。

 学力向上へ学校現場の模索は続く。子どもにとって最適の学びをどう保障し、主体的・対話的で深い学びにつなげていくか。教師力が問われている。(浜尾幸朗)

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