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いしのまき食探見>トマト 酸味、甘み、ミネラル豊富

「こだわりくん」の選別、出荷作業に追われるスタッフ=石巻市蛇田のサントマト石巻
「ご馳や」の石焼 丸ごとトマトパスタ

 海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。

トマト

 県内最大の生産量を誇る石巻地方のトマト。大型鉄骨ハウスの環境整備などに伴い、年間を通して消費者に届けられる。いしのまき農協のオリジナルブランド「赤のみのり」や、糖度8度前後の「こだわりくん」などの名で知られる。

 同農協園芸課の渥美良浩課長は「消費者のニーズや用途に合わせ、ミニトマト、中玉、大玉と細分化し、出荷している」と説明する。いずれもトマト本来の酸味や甘さに加え、みずみずしいのが最大の特長。

 中でも注目を集めているのがサントマト石巻(石巻市蛇田)の海洋深層水を使用して栽培する「こだわりくん」だ。従来のトマトに比べ、リコピン、ミネラルがたっぷりで、リピーターが後を絶たない。

 トマトを丸ごと使ったパスタが看板メニューになっている食堂もある。「ご馳や」(同市あゆみ野5丁目)の「石焼丸ごとトマトパスタ」は、湯むきしたトマトがパスタの上にどーんと鎮座。見た目の迫力に圧倒される。

 「インスタ映え」するよう、大きさにもこだわり、直径7センチ、重さ100グラム以上を選ぶようにしているという。ベースとなるトマトソースも自家製で、文字通り丸ごとトマトを満喫できる。

 運営する宮城実業の千葉真琴社長(49)は「トマトは根強い人気があり、特に若い女性の注文が多い。今後は新たなメニューも検討していきたい」と話している。
(桜井泉)

<メモ>
 石巻地方は夏は涼しく、冬は暖かいという気候を生かし、昔から沿岸部を中心にトマト栽培が盛んだった。いしのまき農協によると、2021年度に出荷したのはミニトマト349トン、中玉197トン、大玉(高糖度含む)409トンの計955トン。県内一の生産量を誇っている。

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