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いしのまき食探見>ちぢみほうれん草 発祥は東松島 寒さを甘みに

収穫の最盛期を迎えている、ちぢみほうれん草。寒さが厳しくなるほど甘みを増す
和食、洋食とさまざまな料理で楽しめる

 海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。

ちぢみほうれん草

 しわしわ、でこぼこした緑色の葉が畑を覆う。石巻地方を代表する冬の味覚、ちぢみほうれん草が収穫の最盛期を迎えている。寒さに耐えるため、ぎゅっと葉を縮ませて養分を蓄える。肉厚で、甘みとうま味が濃厚なのが特長だ。

 今では全国区の野菜だが、発祥は東松島市矢本地区とされる。農家が自家用に作っていたものの、味が評判となり広がったそう。市内の生産者約30人でつくる「やもとほうれん草生産組合」は毎年70~75トンを出荷し、品質の高さから東京の百貨店にも並ぶ。

 同市大曲でちぢみほうれん草を栽培する、副組合長の土井金栄さん(46)を訪ねた。生育中も土を軟らかに耕したり、雪や鳥害から守るため不織布で覆ったりと手間をかける。

 土井さんは「手を抜けばいい物はできない。発祥地だからこそ、他に負けないちぢみほうれん草を届けたい」と力を込める。

 多彩な味わい方ができるのも魅力。農家のお母さんに教えを請うと、ゆでてワカメやノリと合わせたり、白あえやバター炒めにしたり。シチューやグラタンもお勧めと教えてもらった。

 石巻市でイタリア料理店を営む木村伸也さん(41)が提案してくれたのは、オリーブオイルと塩で味わうおひたしや卵焼き、ラザニアなど。「どんな味付けや食材とも相性がいい、名脇役」と太鼓判を押す。

 この寒さもおいしいちぢみほうれん草のためと思えば、耐えられそうな気がしてきた。
(奥山優紀)

<メモ>
 県産ちぢみほうれん草の糖度は8度以上。寒くなるほど甘さが増し、ピーク時には15度ほどになるという。ビタミンCや鉄分などが豊富。シーズンは2月下旬ごろまでで、いしのまき農協では地元のほか仙台や秋田、東京などの市場に出荷している。

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