色彩模様いしのまき<青> 海に溶け込む巨大絵巻 防潮堤の壁画(石巻市雄勝町)
湾を取り囲む無機質なコンクリートの一画に、青の景色が広がる。壁の向こうに海がのぞく景色を探した。圧巻の巨大壁画が不思議と周囲の風景に溶け込んで見えた。
東日本大震災で被災した石巻市雄勝地区の防潮堤に壁画を描いて展示する野外美術館「海岸線の美術館」は、昨年11月にオープンした。第1弾の壁画は高さ7.5メートル、幅54.6メートルのスケール。1枚の絵で浜ごとに変わる表情を取り入れ、朝から夜までの時間の移ろいも表現した。
壁画が描く木々の間から見える海と空は、かつて取材に回った雄勝で車窓に流れていた風景と重なった。防潮堤で隔てられた海との距離が、少し縮まった気がした。